おばあちゃんのスカートの中に隠れていたオスカル(ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』)をモチーフにして、いつものように自由自在に妄想の翼を広げる「いちびり一家」最新作。前回の〔いちみり☆しあたぁ〕『怪談隣の家』も素晴らしかったけど、今回、大きな舞台を縦横に使い切ったこの作品は最高に素晴らしい。
演劇であることの魅力を最大限に満喫させる。応典院をここまで広い空間にして見せる芝居はなかなかないだろう。空間の広がりはただその面積だけではない。役者たちが動き回ることで、世界はどんどん大きくなる。物理的な空間の問題も確かにあるだろうが、芝居は想像力の産物だ。目の前に見える空間がどこまでも広大なものとなる瞬間を目撃する興奮と快感。すごいスピードで移動していく場所と人々。そしてドラマ。早い展開だけではない。じっくりとその場所で起きるできごとを見つめさせるから、世界はどこまでも広大なものとなるのだ。壮大な冒険が描かれる。でも、そのすべてがおばあちゃんのスカートの中。
役者たちは慌ただしい衣装換えで、いくつもの人物を往還していく。目まぐるしい展開なのにいつものようにアツキイズムによる生演奏や、歌と踊りの彩られた物語は確かな足取りでお話を刻む。芝居は流されない。作、演出坂上洋光によって造形されたこの世界は、確固とした「世界」を作り上げる。混沌の荒波に抗いながら、確かに「今ここで生きている」という実感を抱かせてくれるのだ。
船に乗って流されていく冒頭の激しい描写からスタートして、錯綜するいくつものドラマに右往左往させられながら、激しいうねりをみせてラストまで90分。怒濤の展開だ。
母親と眠る布団の中から(母は下着姿!)目覚めた時には、もう中学の卒業式が終わっていて、しかも、ただの遅刻ではない!「どうして起こしてくれなかったの!」と怒鳴るのだけど、「大丈夫よ。お母さんがあなたの代わりに卒業式にも行ってきたし、ちゃんと答辞も読んできたわ!」なんて母は言うのだ。何なんだ、それ!!しかも、母はお父さんの格好をして、今度は失踪したお父さんを演じるから、と言う。というか、そんなこと、知らないんですけど。「父さんって、いなくなったの?」で、母さんは父さんの代わりに会社行く準備するし。すると、担任の先生がやってきて、僕にではなく、お父さんに扮したお母さんに用があるらしいし、で、なんと先生(もちろん、女)は、お父さん(ではなく、お母さんだけど)となんと恋人同士になってるようで、(どういう展開!)、さらには卒業式で告白された後輩の女の子まで、やってきて、(というか、母さんが、告白の時、僕の代わりに彼女のほっぺにチュウした!らしい)てんやわんやの大騒動。
なんていう、エピソードだけから、想像してもらえば、だいたいの雰囲気が伝わるか、と思う。(無理かぁ!)これはお話のほんのⅠエピソード。
そんなこんなのいくつものお話が、らせん状になってうねるように展開していくんだ。しかも、それぞれのお話が急転直下。ジェットコースターに乗せられて、有無を言わせず振り回される。世界はとんでもないことになっているけど、彼らは慌てることなく、ここにいる。
だっておばあちゃんのスカートの中にいればどんなことがあっても安心だからだ。いちびり一家の4人に5人のゲストを交えて、総勢9人のキャストが縦横無尽に舞台を駆け回る。素晴らしいアンサンブルプレーを見せてくれる。今年一番刺激的な作品だった。(まだ、2月になったところだけど)
演劇であることの魅力を最大限に満喫させる。応典院をここまで広い空間にして見せる芝居はなかなかないだろう。空間の広がりはただその面積だけではない。役者たちが動き回ることで、世界はどんどん大きくなる。物理的な空間の問題も確かにあるだろうが、芝居は想像力の産物だ。目の前に見える空間がどこまでも広大なものとなる瞬間を目撃する興奮と快感。すごいスピードで移動していく場所と人々。そしてドラマ。早い展開だけではない。じっくりとその場所で起きるできごとを見つめさせるから、世界はどこまでも広大なものとなるのだ。壮大な冒険が描かれる。でも、そのすべてがおばあちゃんのスカートの中。
役者たちは慌ただしい衣装換えで、いくつもの人物を往還していく。目まぐるしい展開なのにいつものようにアツキイズムによる生演奏や、歌と踊りの彩られた物語は確かな足取りでお話を刻む。芝居は流されない。作、演出坂上洋光によって造形されたこの世界は、確固とした「世界」を作り上げる。混沌の荒波に抗いながら、確かに「今ここで生きている」という実感を抱かせてくれるのだ。
船に乗って流されていく冒頭の激しい描写からスタートして、錯綜するいくつものドラマに右往左往させられながら、激しいうねりをみせてラストまで90分。怒濤の展開だ。
母親と眠る布団の中から(母は下着姿!)目覚めた時には、もう中学の卒業式が終わっていて、しかも、ただの遅刻ではない!「どうして起こしてくれなかったの!」と怒鳴るのだけど、「大丈夫よ。お母さんがあなたの代わりに卒業式にも行ってきたし、ちゃんと答辞も読んできたわ!」なんて母は言うのだ。何なんだ、それ!!しかも、母はお父さんの格好をして、今度は失踪したお父さんを演じるから、と言う。というか、そんなこと、知らないんですけど。「父さんって、いなくなったの?」で、母さんは父さんの代わりに会社行く準備するし。すると、担任の先生がやってきて、僕にではなく、お父さんに扮したお母さんに用があるらしいし、で、なんと先生(もちろん、女)は、お父さん(ではなく、お母さんだけど)となんと恋人同士になってるようで、(どういう展開!)、さらには卒業式で告白された後輩の女の子まで、やってきて、(というか、母さんが、告白の時、僕の代わりに彼女のほっぺにチュウした!らしい)てんやわんやの大騒動。
なんていう、エピソードだけから、想像してもらえば、だいたいの雰囲気が伝わるか、と思う。(無理かぁ!)これはお話のほんのⅠエピソード。
そんなこんなのいくつものお話が、らせん状になってうねるように展開していくんだ。しかも、それぞれのお話が急転直下。ジェットコースターに乗せられて、有無を言わせず振り回される。世界はとんでもないことになっているけど、彼らは慌てることなく、ここにいる。
だっておばあちゃんのスカートの中にいればどんなことがあっても安心だからだ。いちびり一家の4人に5人のゲストを交えて、総勢9人のキャストが縦横無尽に舞台を駆け回る。素晴らしいアンサンブルプレーを見せてくれる。今年一番刺激的な作品だった。(まだ、2月になったところだけど)