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映画・演劇のレビュー

『スマイル・アゲイン』

2013-08-31 07:36:33 | 映画
こんな地味な映画も今劇場では公開されている。昔なら、こういうのにもそれなりに注目が集まったのかもしれないが、今ではまるで誰も見向きもしない。でも、ひっそりロードショーされているのだ。監督は『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ。あの映画も地味な作品だったが温かい気分にさせられる作品で、当時そこそこヒットしたはずだ。ウィル・スミス親子が共演した最初の映画だ。だが、あれからほんの数年で映画を巡る状況は変わった。この手の映画は公開すら危ぶまれる。

本作は主演がジェラルド・バトラー。あのヒゲのオヤジだ。『300』でも暑苦しかった。でもあの映画で一躍有名になった。それからもいつもむさいヒゲだ。今年もあの『エンド・オブ・ホワイトハウス』で不死身の男を演じていた。そんな彼が、なんと元花形サッカー選手を演じるファミリー・ピクチャーがこれだ。

 時代のヒーローだったのに、今では仕事もなく、貯金も底をつき、妻には愛想尽かされ、別居。5年になる。子供とはなんとか会わせてもらっているが、仕事はないし、最悪の日々。息子のサッカー教室のコーチを頼まれる。息子の前でいい格好するため、引き受けるが、という感じの話。

こういうハートフルな作品にジェラルド・バトラーは不似合いだ。本人も居心地悪そうにしている。子供との交流もぎこちない。そういう不器用さが監督の狙いで彼をキャスティングしたのかもしれない。だから、この映画にはぴったり(かも)。笑えるシーンもありで、話は進展していく。息子の所属する少年サッカーチームの母親たちから、強引にモーションを掛けられて、たじたじになる。モテモテなのだ。ユマ・サーマンとかキャサリン・ゼタ・ジョーンズなんていう大物女優がその母親役で出演している。なんかそれって凄くないか。

子役の少年(9歳のノア・ロマックス)が相変わらずいい。この手の映画の定番だろう。憎らしいほど自然体でうまい。だから、映画はとても心地よく見ていられる。お決まりの展開でエンドなのだが、それも嫌ではない。そんなふうに世の中うまくはいかんやろ、と思うけど、映画の中ではうまくいってもらえるほうが見ているほうがうれしい。

それにしてもサッカーの解説者を目指すという進路変更が、なんだかなぁ。とてもちまちました話で、ちょっとなにげにリアル。ヨーロッパで大活躍した選手なのに、なかなか再就職がない。アメリカの現実は厳しい。日本ならそれだけですぐに芸能界入りできそうなのに。



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