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映画・演劇のレビュー

THE GO AND MO'S 『春子の夢』

2013-04-07 20:23:17 | 演劇
 ベトナムからの笑い声の黒川猛による一人芝居。企画ユニットTHE GO AND MO'Sとして1年間で6本京都で活動してきて、今回が初の大阪公演となった。僕は、初めて見たのだが、とてもバカバカしくてすごい。よく、こんなにもあほらしいことをちゃんと真面目に見せきれたものだ。感動する。見終えたなら、その瞬間から忘れてしまうくらいにくだらない。先週見たのだが、パンフを見なければ、内容が思い出せなくて困った。でも、パンフを見たら鮮明に思い出せた。

 当日、上手いこと時間があったので、開演前のドキュメンタリーもちゃんと見れた。詳しい説明はしないけど、これからしてアホらしい。当り屋と、当たり屋Gメン(そんなもんあるかい)の密着取材というスタイルで作られたフェイク・ドキュメント。森本研典と樋口ミユが演じる。2人が、それぞれ役になりきり、嘘臭いけど、なんだかリアルなシリアス演技を見せてくれる。

 本編は、映像とコントを交互に見せて(黒川さんがひとりで演じるのだから、休憩も必要だからね)、1時間40分ほど、一気に見せてくれる。(開演前のフェイク・ドキュメンタリーを入れると2時間だ!)

 深い意味はない。でも、笑える。バカバカしい不条理を黒川さんが誠実に対応して見せてくれる。彼の生真面目さがそれぞれの作品をとてもチャーミングなものにしている。たとえば最初のコントである『注文の多い風俗店』なんてまさにその通りだろう。風俗に来て、わけのわからない注文に振り回される男を熱演する。さらには2本目の『狂言病』。汗だくになりながら、7人のヒーローを演じる。しかも、狂言スタイルで。そのくだらなさが、笑える。


 合間合間に挟まれる写真のスライドショーの淡々としたタッチもいい。3本目のコント『スパイ大作戦』も、本当にアホらしい。でも、こんなアホなことにここまで熱演出来る彼の真面目さに心打たれる。大切なことはその情熱だろう。

 とても気持ちのいい作品集だった。これを2カ月に1本のペースで公演するなんて、凄いとしかいいようがない。




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