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映画・演劇のレビュー

『ジュラシック・ワールド』

2015-08-07 07:46:47 | 映画
スピルバーグに任されて新鋭コリン・トレボロウ監督がメガホンを取ったシリーズ第4作は会心の出来だ。ドキドキハラハラの映画の王道を行く娯楽巨編。まだほとんど経験もない(これが監督2作目!)若い監督にこれだけのプロジェクトを任せる。(自身も監督2作目であの『ジョーズ』を作った!) 不安はあったはずだし、周囲の反対もあっただろう。だが、スピルバーグは(きっと)押し切ったのだ。その結果がこれである。不安なんか払拭するほどの仕上がりだ。さすが腐っても(腐ってない)製作スピルバーグである。いや、コリン監督凄い奴だ。

夏休みのバカンスに出かける子供たちを空港まで見送る両親。お兄ちゃんと弟の2人旅。兄は少し恥ずかしい。チビの弟の子守りを任された感じで。本当ならカワイイ彼女(冒頭で彼女が出てくる)と2人で旅行出来たならいいのだけど、さすがにそれはない。だってまだ、彼は高校2年生だ。(でも、この年齢って実は微妙ではないか。彼はいいとこの坊っちゃんだから、暴走はしない)弟は恐竜大好きの小学生。ね。なんかここもなんだか微妙でしょ。

おばちゃんのところに行く。おばちゃんは、なんと、大人気のテーマパーク「ジュラシック・ワールド」の現場責任者なのだ。だから、少年たちはVIP扱い。いいなぁ、と思う。僕たち観客以上に少年たちのほうがドキドキワクワクしている。さぁ、ジュラシック・ワールドの旅立とう! こういう子供目線のドラマ部分はとてもいい。スピルバーグらしいではないか。しかし、そこからがいけない。大人の側のお話がつまらない。問題は後半にある。最後まで子供目線を貫けないのだ。そこは失敗している。

視点を変えよう。この映画最大の見せ場は、映画撮影のためにテーマパークを作った、ってくらいに凄いあのセットだ。きっとメインストリートは実物大のあのままのセットを作ったのだろう。モブ・シーンも普通じゃない。さすがハリウッドの超大作映画である。先日の『トゥモローランド』でも万博会場を作ったけど、アメリカ映画はやることが半端じゃない。

映画の内容は第1作のリメイクに近いけど、前作で出来なかったことを易々とやっている。それにしても前半のテーマパーク巡りの部分が素晴らしい。彼らと一緒に、このテーマパークを遊んでいる気分だ。ちょっとしたドキュメンタリーというか、疑似体験である。

ただ、お決まりの展開になってからのパニックシーンはまだ凄いからいいけど、その後の結末部分が単調。恐竜の暴走をいかにして食い止めるか、という本来ならクライマックスに当たる部分だ。恐竜捕獲作戦もその後の展開もそれまでの驚きを上回らない。

ワクワクは萎んでしまい、やっぱりな、と思う。娯楽映画の定石は、はずさない。でも、そこまで。もちろん、文句なしの力作である。(文句言ってるけど)

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