この春から孫のレンが小学校に入学する。たまたまだが、これは同世代の子どもと両親の話。お受験である。私学の有名校に入学させるために奮闘する家族。うちのレンはもちろん公立小学校に行くから関係ない。ただ、今の時代こんなバカなことがセレブの家庭では当然のことなのだろうか。公立高校は受験生が減って有名校以外は定員割れが続く。みんな私学の高校に行くからだ。高校受験どころか、小学校受験かぁ、とため息しかない。嫌な世の中になってしまった。貧富の差はどんどん広がっていく。
ここで描かれる家族は普通から遠く離れた富裕層だ。彼らの暮らしや金銭感覚なんて想像もつかない。そんなつかないことが描かれるから、これはこれで興味深い。我々庶民とは世界が違う。羨ましいわけではなく、これはもうSFの世界だ。現実というより空想の世界のお話。だが、お受験は現実で我々庶民とは違う彼らは、子どもたちも親たちもそれに振り回されている。受験戦争なんていうのなら昔からあったけど、せいぜい中学受験くらいが僕には限界。それでも空想の出来事だ。高校受験だって、我々世代は公立の滑り止めで私立も受けたっていうのがリアルは話で、私立に行けなくて公立高校っていう今のリアルは、なんだかなぁの話。
だからこの小説の描く世界は新鮮だった。5、6歳の子たちがこの現実と向き合い生きていく。小説はあくまで親の視点からしか書かれていないが、子どもの心情や、こんな現実で生きる彼らの未来が気になった。
さて、ウチのレンちゃんはどんな一年生になるのだろうか。彼の成長が楽しみ。