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映画・演劇のレビュー

『S 最後の警官 奪還』

2015-08-15 16:54:10 | 映画

較べることに何の意味もないと知りながらも、どうしても『ミッション・インポッシブル ローグネーション』を見た直後にこういう映画を見てしまうと、この日米大作を比較してがっかりすることになる。アメリカ映画は凄い、と思ってしまわざるを得ない。予算のかけ方が半端じゃない、とか、そんなお話ではない。この日本映画の「超大作」がダメなのは、スケールがしょぼいのではなく、台本が悪すぎるのだ。それはこれが安易なTVの映画版だから、とかいうような問題ではない。お金がなくても台本でなら、負けない。それだけの心意気がない。

TVをバカにはしない。TVだからこそ出来ることはある。TVとして成功した(たぶん)この作品が映画になるとこんなにも、つまらなくなるのはなぜか。トム・クルーズにこの映画を見せて指導を請うといい。まぁ、それは無理なので、僕が指導しよう。

トムの映画は仲間は5人。(トム含む)それに対してこの映画の向井理には、友だち何人いた? あまりに多すぎて誰が誰やら、わけがわかりません。(いや、単純なキャラ分けしてるから、わかりますよ)ありきたりに言おう。人間がまるで描けていないのだ。だから、お話に乗れない。(しかも、そのお話の展開がまた、なんともいいかげん)

どうしてこんな大味な台本でOKを出せるのか。僕には理解できません。予算がないのなら、アイデア勝負じゃないのか。天下のTBSが、ユニバーサル映画なんかに負けてもいいのか。(というか、最初から勝負する気ないやろ。世界市場で闘う映画を作る気なんかさらさらない。TVのお茶の間ファンを楽しませればいいのだから)なんとも、志の低い映画だ。

細切れのストーリーがばらばらなままでつながらないから、ドキドキしない。なんか、適当にやってるな、で終わる。豪華キャストが顔見せ程度。TVタレントを大勢呼んできたら出来るバラエティ番組を見てる気分だ。プルトニウムを積載した巨大タンカーがシージャックされ、東京湾で爆発を起こす。その絶体絶命のピンチをどうして切り抜けるのか。こういうストーリーの映画がハラハラドキドキさせないなんて、冗談じゃない。

毎度のことだが、TV会社が作る安易な映画にはうんざりなのだが、それでも、そこに何かを期待してしまうのは、作っている人たちはきっと本気で全力投球しているはずなのだから、そこには「何か」があると信じるからだ。観客を舐めて作るわけはない。だが、作っているうちに、どこかで、何かがおかしくなり、こういうことになる。

劇場でもらった原作試し読みも読んだが、そちらは、なかなかおもしろかった。きっと原作マンガが悪いわけではないはずだ。なんでこんなことになるのやら。

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