こういうなんでもない映画が簡単に撮られる、そんな時代がきたのだなぁ、と改めて思う。ビデオが広まった結果、こんなフットワークの軽い作品が撮られるようになったのだ。これは今までなら、到底考えられなかったことだ。お金がかかるフイルムで撮られる劇場用映画で、この企画はない。だが、ハンディーカメラで自由自在に劇場用映画が撮られる現代ならこんなのもありになるのである。だが、1歩間違えたら目も当てられない代物になりかねない。自己満足のホームムービーを劇場用映画でござい、と見せられることにもなりかねない。それって悲惨だ。これは漫画家で、役者でもある鈴木卓爾監督の長編デビュー作である。とても彼らしい自由自在さだ。でも、それなのに、ちゃんと1本の映画として成立している。
これはまるでエッセイのような映画だ。実を言うと原作もエッセイらしい。だからこの映画の文体は自然な成り行きだろう。でも、ここまでお話を排した映画も珍しい。主人公の女性(星野真理)が、ただ猫を追いかけてぶらぶらするだけの映画だ。そこには特別なお話はない。彼女が恋愛したり人生を考えたり、しない。まぁ、普通の映画ならそれをしてもおかしくはないところなのだが、鈴木監督は敢えてそういう方向に話は進まさない。
だから、気構えることはない。なんとなくぼんやり眺めるくらいでいい。そうすると、すぐに終わってしまう。少し退屈もするけど、つまらなくはない。
全く中身のない映画で、まともなストーリーさえない。イラストを書きながら古書店でバイトをして生活している猫ストーカーの女性の日常をスケッチしているだけ。古書店の奥さん(坂井真紀)が家出してしまう話(その家出の理由は、大事な猫が家出したからだが)くらいしか、ストーリーらしいストーリーはない。だいたいそれだってたいした話ではないし、主人公と大きな関わりがあるわけではない。
彼女は猫を追いかける。ここにはそれ以上の何かは必要ない。なんとも潔い話ではないか。ラストで流れる主題歌が心地よくずっと頭に残る。今もついつい口ずさんでいる。
これはまるでエッセイのような映画だ。実を言うと原作もエッセイらしい。だからこの映画の文体は自然な成り行きだろう。でも、ここまでお話を排した映画も珍しい。主人公の女性(星野真理)が、ただ猫を追いかけてぶらぶらするだけの映画だ。そこには特別なお話はない。彼女が恋愛したり人生を考えたり、しない。まぁ、普通の映画ならそれをしてもおかしくはないところなのだが、鈴木監督は敢えてそういう方向に話は進まさない。
だから、気構えることはない。なんとなくぼんやり眺めるくらいでいい。そうすると、すぐに終わってしまう。少し退屈もするけど、つまらなくはない。
全く中身のない映画で、まともなストーリーさえない。イラストを書きながら古書店でバイトをして生活している猫ストーカーの女性の日常をスケッチしているだけ。古書店の奥さん(坂井真紀)が家出してしまう話(その家出の理由は、大事な猫が家出したからだが)くらいしか、ストーリーらしいストーリーはない。だいたいそれだってたいした話ではないし、主人公と大きな関わりがあるわけではない。
彼女は猫を追いかける。ここにはそれ以上の何かは必要ない。なんとも潔い話ではないか。ラストで流れる主題歌が心地よくずっと頭に残る。今もついつい口ずさんでいる。