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『パンク侍、切られて候』(2018年)以来、5年ぶりとなる石井岳龍監督最新作はなんと2時間45分の長尺。彼が教授として指導している(いた)神戸芸術工科大学が製作。学生たちが全面的に参加して作られた学生映画であり、たぶん授業の一環として作られた作品。
今は映画が簡単に作られるからこんな無謀な作品にもGOサインが出る。なんだかなぁと思う。3時間に及ぶ長さもフィルムじゃないから、カメラをいくらでも回せるし。商業映画じゃないから、やりたい放題です。
5分見て、帰りたくなった。先日の福田雄一の『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う』に続く残念映画で、あれはNetflixの配信だからまだいいけど、これはわざわざ劇場に来て見ているから、途中でやめるわけにはいかない。我慢して最後まで見る。
こういう実験映画を60過ぎの大人が、学生たちを巻き込んで作るって何なんだろうか。こんなのは映画じゃない、とは言わないけど、石井監督がこれを作る意味がわからない。それを劇場にかけることにも。学校で自分たちだけで楽しんで見ているといい。というか、これを誰が楽しむのかは疑問だが。
昔、高校生だった頃、彼は8ミリで『高校大パニック』を作った。あれだってこれ以上にちゃんとした映画だった。これを作るなら、せめて娯楽映画仕立てにして提示して欲しかった。
冒頭で石井教授(石井岳龍本人が演じている)が教室でピストル自殺を図るシーンから始まる。彼は狂ったのか。学校がパニックに陥る。口に拳銃を突っ込んで引き金を引く。(引かないけど)なかなか衝撃的な出だし(になる設定)だ。さらに彼は狂ったように走り出す。いかにも石井映画って感じ。ここから暴走が始まったら『シャッフル』みたいで、いいのだがそうはならない。それなら、彼の内面に迫る『山月記』みたいな映画になったってよかったはず。もちろんならない。
とりあえず、最低でも劇映画には仕立てて欲しかった。こんなポンコツな実験映画もどきは勘弁して欲しい。