なんだか30年くらい前の映画を見ている気分だ。こういう刑事ものって最近の日本映画から消えてしまった。音楽も重厚すぎて今風でないし、なんだか丁寧には作ってあるが、それが新しい何かを提示するわけでもない。悪い映画ではないがあまりに古臭すぎて、見ていて不思議な気分になる。テンポもゆっくりしていて、事件のほうもあまり展開しないまま予定調和で終焉を迎える。今時2時間ドラマでもこれよりはアップテンポなのではないか。
6,70年代の松竹サスペンスものに似ている。貞永方久あたりが作っていたもの。今回の映画は内容的には野村芳太郎の傑作『張り込み』とよく似ているが、あの時代ならOKだが、今この時代にこの映画はないんじゃないか、と思った。キャスティングも一応オールスターだが(今時オールスターなんてのも古臭いが)なんだか盛りを過ぎた役者(すみません)を集めました、なんて感じもするが、どうなんだろうか。
大森一樹はいつの間にか中堅からベテランの域に達してしまいつつあるが、なんだか以前の輝きがなくなった。彼が映画監督になった頃、撮影所出身ではない若手監督(だいたいその頃、若い監督なんていなかったが)なんて存在しなかった。ほんの30年ほど前のことだ。だが、彼のメジャーデビューを皮切りにたくさんの監督が日本映画に出てきた。今では撮影所出身の監督なんてほとんどいない。
時代は変わった。いつのまにかオーソドックスな商業映画監督になってしまった彼が、本当に自分の撮りたいものを存分に撮る日はやって来るのだろうか。『ヒポクラテスたち』『風の歌を聴け』『さよならの女たち』を撮っていた頃の彼の映画が好きだった。久々の今回の新作を見ながら、なんだか彼が時代から取り残されてしまったような気がして、なんだか寂しかった。この映画は決して悪い映画ではない。だけど、なんだかうら寂しい映画に思えたのは僕の感傷でしかないのか。
6,70年代の松竹サスペンスものに似ている。貞永方久あたりが作っていたもの。今回の映画は内容的には野村芳太郎の傑作『張り込み』とよく似ているが、あの時代ならOKだが、今この時代にこの映画はないんじゃないか、と思った。キャスティングも一応オールスターだが(今時オールスターなんてのも古臭いが)なんだか盛りを過ぎた役者(すみません)を集めました、なんて感じもするが、どうなんだろうか。
大森一樹はいつの間にか中堅からベテランの域に達してしまいつつあるが、なんだか以前の輝きがなくなった。彼が映画監督になった頃、撮影所出身ではない若手監督(だいたいその頃、若い監督なんていなかったが)なんて存在しなかった。ほんの30年ほど前のことだ。だが、彼のメジャーデビューを皮切りにたくさんの監督が日本映画に出てきた。今では撮影所出身の監督なんてほとんどいない。
時代は変わった。いつのまにかオーソドックスな商業映画監督になってしまった彼が、本当に自分の撮りたいものを存分に撮る日はやって来るのだろうか。『ヒポクラテスたち』『風の歌を聴け』『さよならの女たち』を撮っていた頃の彼の映画が好きだった。久々の今回の新作を見ながら、なんだか彼が時代から取り残されてしまったような気がして、なんだか寂しかった。この映画は決して悪い映画ではない。だけど、なんだかうら寂しい映画に思えたのは僕の感傷でしかないのか。