まさかのストップモーションアニメ。チリの2人組監督クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャの初長編作品。
悪夢のような映像が怒濤のように押し寄せる。ノンストップで、マリアの受難が続く。空間は異様な形で変容を続け、逃げ込んだはずの家は安心出来ない。ただそれがなんだか眠くなるようなナレーションで綴られていくから、だんだん慣れてきて、怖くないし、ますます眠くなってくる。単調すぎるし、お話もよくわからない。実際にあった出来事を背景にした寓話らしいが、肝心のその背景が見えない。映画が凄いということは認めるけど、見ていて飽きてきた。たった74分の映画なのに退屈。
それは併映された新作短編『骨』も同じ。こちらは14分だから退屈する間はないけど、単調で飽きる。発掘現場から出てきた謎の120年前の映像、という設定は面白いし、少女が骨から死体を甦らせる、というのも興味深いけど、それだけ。他には何もない。
要するにこの2本に共通するのは、お話がないから間が持たないということなのだ。設定(チリにあったドイツ人によるコミュニティでの虐待)をもう少し明確にしてもよかったのではないか。表現としての異形の造形が崩れては再建されていく繰り返しの映像も、最初は驚くけど、それだけでは飽きる。だから映画としての仕掛けが欲しいのだ。これを斬新なアニメーション映画であることは認めるけど、それだけなので、映画としてはきつい。