雨の日に見た少女の感傷。それを感覚的に捉えて、ドラマ化した。細原愛美さんの処女作。理詰めでいくと、とても詰めの甘い芝居なのだが、それはそれでいい。作者の感性を大事にしよう。彼女の切なる想いが、この作品の底にはしっかりと流れている。
いささかセンチメンタルすぎるそれを、出来るだけ大事に尊重し、そのままを舞台化しようとした演出の浦部善行さんの意図もよくわかる。大人目線で描くのではなく、彼女の目線を大切にして(今回のこの芝居自身の主役も、彼女である)描こうとする。この繊細な心情を、ある種の共感を持って、視覚化するのが、今回の浦部さんの仕事だ。
人形作家の姉。コンビニに出たまま、帰ってこない彼女を捜して雨の中、たった1本の傘を持ち、やってくる妹。そこからお話は始まる。姉はいつもドアの前で佇む。いつまでもそこにいる。コンビニでもそうだった。家でも、なぜかトイレの前で考え事をしていたりする。
家族と過ごした過去の時間。失ってしまった家(火事により家族は死んでいる!)を探して彷徨い歩く今の時間。彼女は、「時間屋」という男に導かれて、旅をする。
人形に語りかけるひきこもりの妹。父の浮気。母の憂鬱。浦部さんは、そんな家族の物語を、モノトーンの感傷として、丁寧に描いていこうとする。派手さはないし(でも、あのモノトーンの舞台美術は素敵だ)、お話もささやかだが、好感の持てる小品である。
いささかセンチメンタルすぎるそれを、出来るだけ大事に尊重し、そのままを舞台化しようとした演出の浦部善行さんの意図もよくわかる。大人目線で描くのではなく、彼女の目線を大切にして(今回のこの芝居自身の主役も、彼女である)描こうとする。この繊細な心情を、ある種の共感を持って、視覚化するのが、今回の浦部さんの仕事だ。
人形作家の姉。コンビニに出たまま、帰ってこない彼女を捜して雨の中、たった1本の傘を持ち、やってくる妹。そこからお話は始まる。姉はいつもドアの前で佇む。いつまでもそこにいる。コンビニでもそうだった。家でも、なぜかトイレの前で考え事をしていたりする。
家族と過ごした過去の時間。失ってしまった家(火事により家族は死んでいる!)を探して彷徨い歩く今の時間。彼女は、「時間屋」という男に導かれて、旅をする。
人形に語りかけるひきこもりの妹。父の浮気。母の憂鬱。浦部さんは、そんな家族の物語を、モノトーンの感傷として、丁寧に描いていこうとする。派手さはないし(でも、あのモノトーンの舞台美術は素敵だ)、お話もささやかだが、好感の持てる小品である。