習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『カラスの親指』

2012-12-02 09:12:10 | 映画
 まずこの上映時間である。こういうタイプの娯楽映画としてはありえないような長さだ。2時間40分! である。興行的にもしんどいし、これはどんだけの大作映画なのか、と思わせる。でも、地味な映画だし、キャスティングも、スケールも、内容も、そんな上映時間を必要とするようには見えない。この手の軽めの映画としてはあり得ないような長さの秘密を知りたくて、劇場に行ってみた。

 だが、いつまでたっても、その秘密は明かされない。というか、そんな秘密はこの映画の中にはない! なんだか騙された気になる。映画も詐欺師の話だし、これって新種の詐欺か? 変な期待をして、まんまとやられたのか。

 最後まで見て、やっぱり騙されたと思った。ここにはそんな必然性はない。見終えてがっかりした。まぁ、それなりには楽しめることは事実だから怒るほどではないのだが、この内容で2時間40分はないだろう。あと50分はカットすべきだ。1時間50分に収めるべき内容である。冗長で、しまりのない映画だ。新人監督にこんな甘えさせていいのか、と思う。商業映画のルールすら守られていない。もっとテンポがよくて楽しい映画にしなくてはダメだと思う。編集能力がまるでない。撮影したまんま繋いで公開した、って感じだ。今時そんな映画はない。

 確かに真面目に作ってあることは認める。でも、これではあまりに無骨過ぎる。スマートさのかけらもない。コンゲームって、もっと楽しくなければダメだ。大体ラストのオチもあまりに杜撰で、こんなのに騙されるヤクザはいないし、こんなにも簡単に都合よく、これだけの筋書きを実践できるわけはない。なんか話に緻密さのかけらもない。原作小説もこんなふうに緩いのだろうか。これではきっと誰も騙されません。クライマックスの大作戦もなんか、どんくさくて、ドキドキしない。噂のラスト20分のどんでんがえしも、してやられた! とは思わない。ただのご都合主義。すべてを言葉で説明して、終わり、というのもなんだかなぁ、である。

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