『謎解きはディナーのあとで』

　ＴＶシリーズはほとんど見ていない。というか、1回も通して見たことがない。家に帰ったら家族が見ているから、時々途中から、見ることもあったけどそれだけ。だからわざわざ劇場まで見に行くような映画ではない。なのに封切り初日に見てしまった。なんだかなぁ。

　でも、映画は悪くはない。とてもバカバカしくて、楽しい。こういうおバカな映画は何も考えずに、ポップコーン片手に、楽しめばいい。豪華キャストが、随所に配されてあり、ちゃんと事件に絡んでくる。もちろん、オリジナルキャスト陣は的を射た芝居で楽しませてくれるし、これならファンの満足度は高いのではないか。予定調和を楽しむための作品。

　シンガポールに向かう超豪華客船を舞台にして、殺人事件の謎を解く。櫻井翔演じる毒舌執事、影山と、お嬢さま刑事の北川景子が、呑気に船旅を楽しみながら事件を解決する。なんともノーテンキな映画。竹中直人がひさびさに飛び道具としてしつこいくらいに活躍する。

　だが、この映画には彼よりも、もっと異次元芝居をやってる人がいる。それはもちろん椎名桔平演じる風祭刑事だ。このハイテンションは凄すぎる。はしゃぐのはいいけど、もう周囲を置き去りにする勢いだ。まぁ、悪くはない。これはこういう映画なのだから。

　これはお祭り映画なのである。犯人捜しなんて別にどうでもいい。2時間をこの豪華客船の船内で楽しめばいい。殺人事件も含めて、これはただのアトラクションなのだ。2時間退屈させず、贅沢な時間を過ごせたと、思えたら成功だ。