ここに来て、また震災ものである。空の驛舎『under-ground』以降たった1ヶ月でこれで3本目。しかも、すべてウイングフィールドで上演されたものだし。この後も来週に三角フラスコ+A級MissingLinkによる真打ち登場である。もちろんこれもウイングだ。この劇場は、芝居が今、描くべきことと、真摯に向き合い、ささやかなアプローチかもしれないが、最大限の情熱をもってそれを為す。まぁ、今回はたまたまこうなっただけなのだが、これもこの劇場の、時代と向き合う真摯な姿勢がそういう事実を導き寄せたに違いない。
さて、『心臓破り』である。これはいろんな意味で意外な芝居だった。その内容、アプローチの両極面においてそうなのである。この劇団は、一度は現役を引退した劇場界の重鎮竹内銃一郎さんが、近畿大学の若い学生たちと旗揚げし、このウイングフィールドという小さな小屋を拠点にして、今年活動3年目に突入した若手劇団だ。今回初めて学生劇団としてではなく、本格的に小劇場劇団として外部から実力のある客演を迎えて挑む新作である。
3流大学のサークルである奇術研究会の面々が、震災の被災地にパック・ツアーでボランティアに行こうとする。そんな彼らの部室を舞台にして、それに絡んだそれぞれの想いが描かれていく。だが、テーマは震災とどう向き合うのか、とか、ボランティアへの取り組み方ではなく、彼らのそれぞれの恋愛模様の方にある。なんて不謹慎ななんて思わないでもらいたい。彼らは彼らなりに、自分たちに何が出来るのかを真剣に考えている。たとえささやかなことであろうとも復興のために力を貸したいと願う。だが、その気持ちと、自分たちの恋心とは別物なのだ。そんなことあたりまえのことではないか。この芝居はそんなあたりまえのことをちゃんと言う。そこから芝居は発想されている。竹内さんはそんな真面目な学生たちの恋のさや当てをシリアスに描いていく。学生たちは自分たちの現実の中でもがき苦しんでいる。そのことに嘘はない。そんなつまらないことは、どうでもいい、なんて言う権利は誰にもない。
世界がたとえなくなってしまおうとも、今、自分が彼女に対して抱いている熱い想いはなくなりはしない。そこには一切嘘はない。もちろん自分たちが被災地のど真ん中にいるわけではないから、そんな呑気なことが言えるのだ、と言われたなら返す言葉もない。そんなこと、みんな、わかっている話だ。そこを取り上げて、おまえたちは甘い、と否定するのはお門違いだろう。この芝居が描こうとするのはそんな気分なのである。
とてもささやかだけど、素敵なマジックの数々を全編にちりばめて、ここに描かれるひとつひとつのこのサークル内での恋の駆け引きが愛おしいドラマとして描かれていく。見終えたときには、胸一杯になっていた。彼らのひとりひとりがこんなにも身近にいる。
さて、『心臓破り』である。これはいろんな意味で意外な芝居だった。その内容、アプローチの両極面においてそうなのである。この劇団は、一度は現役を引退した劇場界の重鎮竹内銃一郎さんが、近畿大学の若い学生たちと旗揚げし、このウイングフィールドという小さな小屋を拠点にして、今年活動3年目に突入した若手劇団だ。今回初めて学生劇団としてではなく、本格的に小劇場劇団として外部から実力のある客演を迎えて挑む新作である。
3流大学のサークルである奇術研究会の面々が、震災の被災地にパック・ツアーでボランティアに行こうとする。そんな彼らの部室を舞台にして、それに絡んだそれぞれの想いが描かれていく。だが、テーマは震災とどう向き合うのか、とか、ボランティアへの取り組み方ではなく、彼らのそれぞれの恋愛模様の方にある。なんて不謹慎ななんて思わないでもらいたい。彼らは彼らなりに、自分たちに何が出来るのかを真剣に考えている。たとえささやかなことであろうとも復興のために力を貸したいと願う。だが、その気持ちと、自分たちの恋心とは別物なのだ。そんなことあたりまえのことではないか。この芝居はそんなあたりまえのことをちゃんと言う。そこから芝居は発想されている。竹内さんはそんな真面目な学生たちの恋のさや当てをシリアスに描いていく。学生たちは自分たちの現実の中でもがき苦しんでいる。そのことに嘘はない。そんなつまらないことは、どうでもいい、なんて言う権利は誰にもない。
世界がたとえなくなってしまおうとも、今、自分が彼女に対して抱いている熱い想いはなくなりはしない。そこには一切嘘はない。もちろん自分たちが被災地のど真ん中にいるわけではないから、そんな呑気なことが言えるのだ、と言われたなら返す言葉もない。そんなこと、みんな、わかっている話だ。そこを取り上げて、おまえたちは甘い、と否定するのはお門違いだろう。この芝居が描こうとするのはそんな気分なのである。
とてもささやかだけど、素敵なマジックの数々を全編にちりばめて、ここに描かれるひとつひとつのこのサークル内での恋の駆け引きが愛おしいドラマとして描かれていく。見終えたときには、胸一杯になっていた。彼らのひとりひとりがこんなにも身近にいる。