ダンボールを使ったとても簡単で、キッチュな舞台美術と、幾分重めの芝居内容のミスマッチが、不思議な関係性を提示している。ダンボールにカラフルな色をつけ、椅子、机、家具、電子レンジにあげくはファイル、ペンといったものまでダンボールで作られてある。ラストで新しい電子レンジが唯一の本物として舞台に出てくるが、それが今までの時間の終わりを象徴するのであろう。とてもうそ臭く、お遊びのような空間で見せる芝居はポップなコメディーにはならない。
この芝居の舞台となる不動産屋の事務所で起きる出来事は、とてもシリアスな内容なのに、その舞台美術と役者たちに行動ゆえに、なんかすべてがままごとみたいに見える。そのままごとと、営業成績が伸び悩み、初の女性店長が辞めていかざるえなくなるというドラマが、この芝居は形作っていく。
前半はちょっとテンポが摑めず、乗り切れなかったが、少しずつこの作品の作ろうとするペースに乗ってゆくと、そのゆったりとした遊びのような仕事場の空気に慣れ面白くなってくる。真剣な話なのにそうは見えないことが芝居の基調低音を形成する。そのスタイルを通してどんな世界を見せようとするのか。そこが今一歩見えてこないのがもどかしい。
だから、見終えた時に芝居全体に対する齟齬感が残り、充分にはこの芝居を楽しめきれなかった気がする。描こうとするものと、表現方法がうまく連動していない、という印象はラストまで埋めきれない。台本だけを読むと多分全く違った印象を残すはずだ。なぜ、こういう演出を選んだのかが、気になる。面白いのだが、作者の意図が見えないのが気持ち悪い。
この芝居の舞台となる不動産屋の事務所で起きる出来事は、とてもシリアスな内容なのに、その舞台美術と役者たちに行動ゆえに、なんかすべてがままごとみたいに見える。そのままごとと、営業成績が伸び悩み、初の女性店長が辞めていかざるえなくなるというドラマが、この芝居は形作っていく。
前半はちょっとテンポが摑めず、乗り切れなかったが、少しずつこの作品の作ろうとするペースに乗ってゆくと、そのゆったりとした遊びのような仕事場の空気に慣れ面白くなってくる。真剣な話なのにそうは見えないことが芝居の基調低音を形成する。そのスタイルを通してどんな世界を見せようとするのか。そこが今一歩見えてこないのがもどかしい。
だから、見終えた時に芝居全体に対する齟齬感が残り、充分にはこの芝居を楽しめきれなかった気がする。描こうとするものと、表現方法がうまく連動していない、という印象はラストまで埋めきれない。台本だけを読むと多分全く違った印象を残すはずだ。なぜ、こういう演出を選んだのかが、気になる。面白いのだが、作者の意図が見えないのが気持ち悪い。