少女の見た夢を描くファンタジー。なんだかとても幸せな気分にさせられる。現実の世界は、上手くいかないことばかりでがっかりしたり、疲れてしまったりすることばかりなのだが、でも、人はそんな現実の中で傷つきながら生きていくしかない。わかっているけど、しんどい。だからどこかに逃げ場所が欲しい。それはささやかなものでもいい。ただ、そこにいるだけで、ほっとする。自分だけの居場所だ。
みほにとってそれがこのバージンパンケーキ国分寺というお店だった。曇りの日にだけ店を開ける不思議なパンケーキ屋さん。ここに行けば、まぶさんに会える。彼女と話していると、ほっとする。「ここでバイトしてみない」と言われ、うなずく。常連さんの陽炎子さんや、空の写真を撮る丑松さんと仲よくなる。彼女たちのこれまでたどってきた不思議な人生を聞いているうちに、みほは前を向いて歩いていけるようになる。
今ある苦しみを乗り越えて、本当の自分になるために一歩を踏み出す。幼なじみの明日太郎と親友の久美ちゃんが付き合うことで、彼女は大切な2人をふたりとも失いそうになる。なんでも、自由に話せる明日太郎。大好きな久美ちゃん。だから、3人が一組になれたならいいと思った。でも、恋愛と友情は両立しない。それどころか、恋愛のせいで、友情すら失う。ひとりぼっちになる。
そんなときこの店が彼女を救う。ここには居場所があるからだ。2人と気まずくなった以上、学校では、上手く生きられない。本当ならとてもしんどくなるところだが、夏休みになる。だから、ふたりと会わなくて済む。そういう意味ではラッキーなタイミングだった。
これは、ひと夏のお話だ。夏休みの出来事として、すべてが閉じられる。彼女が体験したささいな出来事。でも、そこから彼女は勇気をもらう。まぶさんの過去。陽炎子さんの過去。夢のようなお話の世界。でも、とても悲しいお話。大好きな人とお別れすること。でも、それを乗り越えて生きなくてはならないこと。そんな当たり前のことを知る。だから、みほは、もう諦めない。3人で仲よく過ごすことを。
友情と恋愛は両立する。これは、そんなささやかな一歩をあざやかに描きとる。とても素敵な青春小説だ。
ところどころ、わざと漢字を使わずにひらがな表記で記してあるのもおもしろい。それは単語の一部分だったりする。だからとてもへんな気分だ。でも、そんな不具合がなんだかいい感じなのだ。それに、たくさんのオリジナル・パンケーキも登場する。最後にそれらの紹介が載っている。改めて記載されたページを繰るのも楽しい。
みほにとってそれがこのバージンパンケーキ国分寺というお店だった。曇りの日にだけ店を開ける不思議なパンケーキ屋さん。ここに行けば、まぶさんに会える。彼女と話していると、ほっとする。「ここでバイトしてみない」と言われ、うなずく。常連さんの陽炎子さんや、空の写真を撮る丑松さんと仲よくなる。彼女たちのこれまでたどってきた不思議な人生を聞いているうちに、みほは前を向いて歩いていけるようになる。
今ある苦しみを乗り越えて、本当の自分になるために一歩を踏み出す。幼なじみの明日太郎と親友の久美ちゃんが付き合うことで、彼女は大切な2人をふたりとも失いそうになる。なんでも、自由に話せる明日太郎。大好きな久美ちゃん。だから、3人が一組になれたならいいと思った。でも、恋愛と友情は両立しない。それどころか、恋愛のせいで、友情すら失う。ひとりぼっちになる。
そんなときこの店が彼女を救う。ここには居場所があるからだ。2人と気まずくなった以上、学校では、上手く生きられない。本当ならとてもしんどくなるところだが、夏休みになる。だから、ふたりと会わなくて済む。そういう意味ではラッキーなタイミングだった。
これは、ひと夏のお話だ。夏休みの出来事として、すべてが閉じられる。彼女が体験したささいな出来事。でも、そこから彼女は勇気をもらう。まぶさんの過去。陽炎子さんの過去。夢のようなお話の世界。でも、とても悲しいお話。大好きな人とお別れすること。でも、それを乗り越えて生きなくてはならないこと。そんな当たり前のことを知る。だから、みほは、もう諦めない。3人で仲よく過ごすことを。
友情と恋愛は両立する。これは、そんなささやかな一歩をあざやかに描きとる。とても素敵な青春小説だ。
ところどころ、わざと漢字を使わずにひらがな表記で記してあるのもおもしろい。それは単語の一部分だったりする。だからとてもへんな気分だ。でも、そんな不具合がなんだかいい感じなのだ。それに、たくさんのオリジナル・パンケーキも登場する。最後にそれらの紹介が載っている。改めて記載されたページを繰るのも楽しい。