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映画・演劇のレビュー

『10+10』

2012-08-11 07:40:10 | 映画
「20位導演寫給台灣的情書」。20人の監督が台湾宛に書いたラブレターという意味らしい。このキャッチコピーのもとで、20人の台湾を代表する監督たちが5,6分というとても短い時間で1本の映画を仕立てる。一気に20本連続で見たから、お腹いっぱいのなるけど、どれも素晴らしい作品ばかりで、こういう作品が作れる今の台湾映画界って凄い。10+10とは、ベテラン10人、若手10人ということらしい。

 ワン・トンから始まり、最後はホウ・シャオシェンまで、新旧様々な監督がそれぞれの視点から、「台湾」をテーマにして、自分の色に染め上げた短編を披露する。ここには手抜きは一切ない。いずれも彼らの長編と比較しても損傷のないものばかりだ。

 1本ずつ取り上げて、話をしたいけど、とりあえず、特に印象に残ったものから順不同に紹介する。5話目のバスの話。モノクロで描かれる。女の運転手。乗合バス。田舎の道。まばらな乗客。バス停でないところで、ひとりの男がドアを叩く。規定で乗せられないという。男は激しく食い下がる。ラストの銃声。妊婦のお腹から流れる血。衝撃的なラストだ。

 ウー・ニェンチェンの久々の新作も彼らしい温かい映画だ。永遠商店という何でも屋を、夫婦で経営していた老婆。夫を失い今では子どもも離れてひとり暮らし。近所には7イレブンが出来た。もう、この店の使命は終わった。だが、そんな彼女のもとへ、少年がやってくる。

 引越しする新婚夫婦の話もいい。引越し屋が、冷蔵庫を吊りあげて、アパートの部屋に入れる作業をしている。なかなか上手くいかない。

 2つの時代を超えて歌う、歌手の話。
 マンションの入り口で待ち続ける女が、最後にそこで踊る話。
 若い女、舞台に出る直前の楽屋、ここにずっといる幻の女が励ます。
 
 きりがない。あと、14本もある。はっきりしていることは、20本ともおもしろい。字幕なしでも、それが分かる。

 最後はもちろんホウ・シャオシェンだ。「ベルエポック」と題された。老女が、彼女のために集まったたくさんの子どもたち、孫たちという家族に囲まれて、写真を撮る。記憶、想い出、現在。1枚の写真に込められる。

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