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映画・演劇のレビュー

『アメイジング・スパイダーマン2』

2014-05-13 22:03:04 | 映画
 いろんな意味で疲れていたから、何も考えず、楽しめて元気になれる映画が見たかった。そこでこの映画を選んだのだが、予想に反して、つまらない映画でがっかりした。ハリウッドの娯楽映画は最近どんどんつまらなくなっている。特にこの手のヒーローものは、もうどうしようもなくマンネリ化している。先日見た『キャプテン・アメリカ ウインターソルジャー』が久々に興奮する映画だったので、もしかしたら、こちらはそれ以上の作品なら、なんて淡い期待を抱いたのが間違いだった。『キャプテン・アメリカ』を観る前はあまり期待してなかったのだ。だが、正解だった。あの映画が開いた突破口の先にまでもしかしたら、この映画が連れて行ってくれるのではないか、なんて今回思ってしまった僕がバカだった。あれがフロックだったのだ。そうそうおいしい話は転がってはいない。

 スピード感と、さわやかな青春映画の趣が、このシリーズのウリ。マーク・ウェブ監督が起用されたのもそこに尽きたはずなのだ。『(500)日のサマー』の実績だけで、大胆にもこのシリーズの監督になった。だが、前作と違い、今回は彼の個性がまるで生きない。バランス感覚を重視したため、どこにも個性が発揮できない映画になったからだ。さらには3人の強敵の出現はストーリーから、奥行きを失わせた。あまりにいろんなことを詰め込みすぎたのだ。その結果どっちつかずの作品になる。とくに青春映画としての側面がおざなりになった。これはつらい。そこにこそ、彼の活路があったはずなのに。

 もうひとつのウリである「軽さ」は、反対にこの映画をくだらないものにする。悩んでばかりのヒーローものが横行する中で、彼は悩まないのが魅力だったはずだが、今回はけっこう悩んでいる。それが悪いとは言わないけど、そこでもバランスの悪さを呈する。悩むくせに行動は軽いから、こいつは何を考えているのやら、よくわからない、という状態。性格破綻者になっているのだ。

 恋人との関係とか、友人との問題とか、ちまちました話こそが、この映画には大事な要素なのだが、そこをおざなりにして、派手なだけのアクションのつるべ打ちを見せる。もうみんな知っていることだが、3Dはウリにはならない。今回だって劇場は3Dではなく2D上映のほうが多い。(というか、まだ公開して3週目なのに、上映回数は大幅に減っているし、小さな劇場でしか、上映していない)日本の観客はもうこの手の映画にうんざりしているようなのだ。アメリカ人のための映画だから、仕方ないのかもしれないけど、ハリウッド映画の凋落はどんどん進行している。

 今後も続々とこの手の映画は日本に上陸する。すさまじい製作費を投入して空しい映画が作られる。空疎な大作映画がどこに行きつくのか。興味は尽きないけど、なんだかなぁ、でもある。

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