オリバー・ストーン最新作。タイトルそのままのブッシュ大統領を描いた大作。オリバー・ストーンがどんなふうにブッシュを描くのか興味津々だった。オリバー怒りの鉄拳がどうブッシュに下されるのか、と思ったのだが、映画はストーンの映画とは思えないくらいにおとなしい。
まだまだ生々しいブッシュ政権時代を独断と偏見で描くことは出来なかったのか。いや、そうではあるまい。今回の彼の判断はブッシュをこき下ろすのではなく、冷静にあんな男を大統領にしてしまったアメリカという国そのものにメスを入れる。ほかならぬアメリカ国民が彼を支持したのである。
9・11に直接触れてこないのも確信犯的行為だが、オリバー・ストーンらしくない。ホワイトハウスでの会話劇に終始するのも、いつもの彼とは違う。きちんと、ブッシュの背景を丁寧に追いかけていき、彼のコンプレックスに共鳴するような姿勢すら感じる映画になっている。もっと感情的で独断的なものでなくてはオリバー・ストーンらしくない。
なんだかがっかりだ、とでも書くべき所なのだが、実はそうではない。この思いのほかおとなしい映画が、僕にはけっこう面白く思えた。今ブッシュという男を語るとき、突撃レポーター、マイケル・ムーアのようなやり方では意味がない。冷静になってブッシュを捉えることで、何が今必要なのかが見えてくるのではないか。オバマが正しくてブッシュはダメというそんな簡単な問題ではあるまい。政治家って本当に大変だ。ブッシュにしたってただのバカではない。彼の優秀なブレーンとともに彼はアメリカの一時代を築いた。そのことをオリバー・ストーンはきちんと捉える。
何が正しいことで何が間違いだったのか、それはやがて歴史が証明してくれるだろう。だが、僕らは歴史を生きているのではない。評価の定まらない混沌とした今という時代を生きているのである。かってオリバー・ストーンは『プラトーン』のなかで自分が見たものを、怒りを込めて描いた。あの頃と今とでは時代が違う。そのことを一番よく知っているのが彼自身だ。アメリカの今と明日を見据えて、彼はこの映画を作った。だが、アメリカ人はこういう映画を見ない。現実なんてそんなものだ。それにしてもこんな映画が今年作られて劇場公開され、まるで注目を集めないまま消えていく。それもまた別の意味で凄い。
まだまだ生々しいブッシュ政権時代を独断と偏見で描くことは出来なかったのか。いや、そうではあるまい。今回の彼の判断はブッシュをこき下ろすのではなく、冷静にあんな男を大統領にしてしまったアメリカという国そのものにメスを入れる。ほかならぬアメリカ国民が彼を支持したのである。
9・11に直接触れてこないのも確信犯的行為だが、オリバー・ストーンらしくない。ホワイトハウスでの会話劇に終始するのも、いつもの彼とは違う。きちんと、ブッシュの背景を丁寧に追いかけていき、彼のコンプレックスに共鳴するような姿勢すら感じる映画になっている。もっと感情的で独断的なものでなくてはオリバー・ストーンらしくない。
なんだかがっかりだ、とでも書くべき所なのだが、実はそうではない。この思いのほかおとなしい映画が、僕にはけっこう面白く思えた。今ブッシュという男を語るとき、突撃レポーター、マイケル・ムーアのようなやり方では意味がない。冷静になってブッシュを捉えることで、何が今必要なのかが見えてくるのではないか。オバマが正しくてブッシュはダメというそんな簡単な問題ではあるまい。政治家って本当に大変だ。ブッシュにしたってただのバカではない。彼の優秀なブレーンとともに彼はアメリカの一時代を築いた。そのことをオリバー・ストーンはきちんと捉える。
何が正しいことで何が間違いだったのか、それはやがて歴史が証明してくれるだろう。だが、僕らは歴史を生きているのではない。評価の定まらない混沌とした今という時代を生きているのである。かってオリバー・ストーンは『プラトーン』のなかで自分が見たものを、怒りを込めて描いた。あの頃と今とでは時代が違う。そのことを一番よく知っているのが彼自身だ。アメリカの今と明日を見据えて、彼はこの映画を作った。だが、アメリカ人はこういう映画を見ない。現実なんてそんなものだ。それにしてもこんな映画が今年作られて劇場公開され、まるで注目を集めないまま消えていく。それもまた別の意味で凄い。