ウォンビン主演の切ないアクション映画だ。リュック・ベッソンの『レオン』を連想すればわかりやすい。孤独な少女と無口な質屋の男(彼は少女から「アジョシ〈おじさん〉と呼ばれる)の心の交流が描かれる。他人に関わることなくひっそりとひとりで生きる彼のもとを訪れ、あれやこれやと関わり合うを持とうとする少女。彼女もまたひとりぼっちなのだ。構ってもらいたい。というより、自分と同じ匂いを彼に感じる。彼女はダンサーをする母親と2人暮らしで、おじさんの隣の部屋に住んでいる。
母親がヤクザの麻薬を横取りしたことから、話が始まる。母親ともども誘拐された少女を救い出すため「おじさん」は、凄まじい暴力を引き起こす。ヤクザたちなんかより、彼一人の方が数段強いのだ。アメリカの特殊部隊に8年間在籍していた殺人マシーンという設定。なんかスティブン・セガールの映画みたいだが、でもこれは爽快なアクション映画ではない。陰惨で、残酷で、全編が、ほぼ夜のシーンのみで統一されるR指定の暴力映画だ。
無口なおじさんが、たったひとりで、凄まじい暴力に挑んでいく姿をクールに見せていく。監督、脚本はこれがデビューとなるイ・ジョンボム。スタイリッシュで強烈な暴力描写を淡々と見せてこれる。なかなか悪くはない。最初から最後まで途切れることなく緊張を持続させたのは立派だ。
だが、映画を見終えて後には何も残らない。ハードボイルドにはセンチメンタルが似合う。そのブレンドが上手くいくと、心に沁み入るものとなるのだが、残念だが、これはそうはならない。しかも、あのラストシーンである。あれは噴飯ものだ。ありえない。なんか、椅子から落ちそうになった。そこまでのタッチからあまりに落差があり過ぎるだろ、と思う。「おじさんの笑顔を初めて見た」という少女の決めセリフが冗談になるようなシーンを作ってはそこまでの努力が水の泡ではないか。
それと、やっぱりお話自体にもう少し奥行きが欲しい。臓器売買の話とか、お金の引き落としに誘拐した子供を使うとか、興味深い設定はあるにはあるけどそれが通り一遍の描写で終わる。せっかく雰囲気のある映画を作ったのに、これでは勿体ない。
母親がヤクザの麻薬を横取りしたことから、話が始まる。母親ともども誘拐された少女を救い出すため「おじさん」は、凄まじい暴力を引き起こす。ヤクザたちなんかより、彼一人の方が数段強いのだ。アメリカの特殊部隊に8年間在籍していた殺人マシーンという設定。なんかスティブン・セガールの映画みたいだが、でもこれは爽快なアクション映画ではない。陰惨で、残酷で、全編が、ほぼ夜のシーンのみで統一されるR指定の暴力映画だ。
無口なおじさんが、たったひとりで、凄まじい暴力に挑んでいく姿をクールに見せていく。監督、脚本はこれがデビューとなるイ・ジョンボム。スタイリッシュで強烈な暴力描写を淡々と見せてこれる。なかなか悪くはない。最初から最後まで途切れることなく緊張を持続させたのは立派だ。
だが、映画を見終えて後には何も残らない。ハードボイルドにはセンチメンタルが似合う。そのブレンドが上手くいくと、心に沁み入るものとなるのだが、残念だが、これはそうはならない。しかも、あのラストシーンである。あれは噴飯ものだ。ありえない。なんか、椅子から落ちそうになった。そこまでのタッチからあまりに落差があり過ぎるだろ、と思う。「おじさんの笑顔を初めて見た」という少女の決めセリフが冗談になるようなシーンを作ってはそこまでの努力が水の泡ではないか。
それと、やっぱりお話自体にもう少し奥行きが欲しい。臓器売買の話とか、お金の引き落としに誘拐した子供を使うとか、興味深い設定はあるにはあるけどそれが通り一遍の描写で終わる。せっかく雰囲気のある映画を作ったのに、これでは勿体ない。