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映画・演劇のレビュー

チーム☆レトリバーズ『Time After Time』

2011-09-25 19:45:07 | 演劇
 久しぶりにこういう甘い芝居を見た。話自体もたわいないし、作り方も単純だ。芝居としては初歩的な作品で、どうってことはない。友だちでも出ているのならいいけど、そうじゃないならわざわざ見る必要はない芝居である。

 ということなのだが、たまにリハビリとして、こういう芝居を見るとなんだかホッとするのも事実だ。いつもいつも全力投球の芝居ばかりでは疲れる。リラックスして見れるのがいい。だが、それだけではダメだ。何よりまず、作り手の真面目さが気持ちいい。それがなければ、きっと最悪の芝居になっただろう。先に書いたことは、この芝居をなめてかかって言ったのではなく、作り方が幼いからで、悪気はない。だが、この誠実さがこの無邪気で幼い芝居を救っている。

 主人公の2人は付き合いだして4年半。最初の頃のときめきはない。しかも、最近の彼はいつも疲れていて、昔はあんなにもキラキラしていたのに、なんか別人のようになっている。結婚も視野に入れて、現実的になっているから、なんだか不安だ。そんな彼女が占い師のところに相談に行く。彼の気持ちが知りたいと望む彼女のために、占い師は、彼の心の中に今も住んでいるこれまで付き合ってきた女性たちをみんな呼び出してくれる。過去の彼のすべてを、彼女たちによって見せてくれることになる。5人の女たちと向き合い、初恋から自分と付き合う直前までのすべての彼女たちが語る彼の姿を聞くうちに、いろんなことが見えてくる。というようなお話だ。ストーリーにはなんの仕掛けもない。今ここに書いたままだ。ラストはちゃんとハッピーエンドになる。

 欲を言えば、もう少し一つ一つの話に奥行きが欲しい。なんか当たり障りもなく、リアリティーもない。嘘くさいとまでは言わないが、あまりに薄っぺらで、頭で拵えたままの話でなんの意外性もないし、先が読める。もう少しでいいから、ドラマに冒険が欲しい。これではただの予定調和だ。

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