オリジナルのテイストを現代に甦らせようと、細心の腐心を凝らした作品になっている。その結果、残酷なシーンはリアルで、生理的な不快感はMAXまで高められていく。マイケル・ベイ製作のメジャー映画のはずが、インディーズの怪しげな雰囲気を漂わせ、ザラザラした荒涼感溢れるドキュメンタリータッチの作品となっている。
描き方は即物的で、エンタティンメントとは程遠い。オリジナルの車のドアで指を挟むシーンにあったあのざわざわする胸騒ぎと、胸糞の悪くなる不快感。狂気が持続していく緊張。あの怖さである。何が起こるのか、想像もつかない、何が起こっても仕方ない。アメリカの片田舎に行けば、このくらいの事は、ありえるだろうというリアリティー。
1939年。第二次世界大戦中のテキサスで、彼が生まれる。望まれず生まれてきて、ゴミ箱に棄てられていた、不具の赤ん坊。彼が成長して、ブッチャーとして生きてきたが、その仕事を失い、路頭に迷うことから始まる惨劇。1969年。ベトナム戦争が泥沼に陥る。そんな時代を背景にドラマは起こる。
2つの大きな戦争を背景にして、アメリカ人の心が病んでいく中で起こる物語として、このテキサスの猟奇殺人を捉えていくところがミソである。単なるスプラッターホラーではなく、病理的に捉えることで怖さは増す。実話の強みもしっかり踏まえて大量殺人を絵空事にはしない迫力がある。
74年トビー・フーパーという狂人が作ったこの映画のオリジナルは日本で公開された。こんな低予算の映画が超メジャーな劇場でロードショーされたのは、前年の『エクソシスト』の大ヒットがあったからだが、あの時、ここまで異常な作品が受け入れられたのは驚きである。
今では誰もが認める映画史上最恐のスプラッター映画。これを見たらその不気味さ、残酷さ、すべてにおいて他の追随を許さないその異常さに震え上がりしばらくは席も立てないはずだ。ラストシーンの、朝焼けの中、チェーンソーをいつまでも振り回し続ける男の姿が目に焼きついて離れない。あれから30年が経つのにである。
『悪魔のはらわた』(日本ではこんなタイトルが付けられた)のリメイクである前作は何を今更としか言えない作品だった。オリジナルへのオマージュなんていらない。オリジナルを見ろ。それだけで良い。そう思った。だから、今回も期待してなかった。ただなぜそんなに拘るのか、それが気になったのだ。映画は予想に反してかなり良く出来ていたのは、先に書いた通りである。しかし、それにしてもなぜ今これを作るのか。ヒットさせるためとは、とても思えない作り方である。
時代はますます悪くなっている。そんな時代への警告なのか。いや、そんな大袈裟なことではないかもしれない。しかし、こんな映画を今敢えて作ろうとするマイケル・ベイの<暗い思い>が何なのか、そこが知りたい。
描き方は即物的で、エンタティンメントとは程遠い。オリジナルの車のドアで指を挟むシーンにあったあのざわざわする胸騒ぎと、胸糞の悪くなる不快感。狂気が持続していく緊張。あの怖さである。何が起こるのか、想像もつかない、何が起こっても仕方ない。アメリカの片田舎に行けば、このくらいの事は、ありえるだろうというリアリティー。
1939年。第二次世界大戦中のテキサスで、彼が生まれる。望まれず生まれてきて、ゴミ箱に棄てられていた、不具の赤ん坊。彼が成長して、ブッチャーとして生きてきたが、その仕事を失い、路頭に迷うことから始まる惨劇。1969年。ベトナム戦争が泥沼に陥る。そんな時代を背景にドラマは起こる。
2つの大きな戦争を背景にして、アメリカ人の心が病んでいく中で起こる物語として、このテキサスの猟奇殺人を捉えていくところがミソである。単なるスプラッターホラーではなく、病理的に捉えることで怖さは増す。実話の強みもしっかり踏まえて大量殺人を絵空事にはしない迫力がある。
74年トビー・フーパーという狂人が作ったこの映画のオリジナルは日本で公開された。こんな低予算の映画が超メジャーな劇場でロードショーされたのは、前年の『エクソシスト』の大ヒットがあったからだが、あの時、ここまで異常な作品が受け入れられたのは驚きである。
今では誰もが認める映画史上最恐のスプラッター映画。これを見たらその不気味さ、残酷さ、すべてにおいて他の追随を許さないその異常さに震え上がりしばらくは席も立てないはずだ。ラストシーンの、朝焼けの中、チェーンソーをいつまでも振り回し続ける男の姿が目に焼きついて離れない。あれから30年が経つのにである。
『悪魔のはらわた』(日本ではこんなタイトルが付けられた)のリメイクである前作は何を今更としか言えない作品だった。オリジナルへのオマージュなんていらない。オリジナルを見ろ。それだけで良い。そう思った。だから、今回も期待してなかった。ただなぜそんなに拘るのか、それが気になったのだ。映画は予想に反してかなり良く出来ていたのは、先に書いた通りである。しかし、それにしてもなぜ今これを作るのか。ヒットさせるためとは、とても思えない作り方である。
時代はますます悪くなっている。そんな時代への警告なのか。いや、そんな大袈裟なことではないかもしれない。しかし、こんな映画を今敢えて作ろうとするマイケル・ベイの<暗い思い>が何なのか、そこが知りたい。