久々に凄い芝居を見た。2時間半の大作なのだが、あっ、という間の出来事だ。これだけの覚悟を決めて、この作品に挑戦して、見事成功した演出のしまよしみちとそのチームに拍手を惜しまない。
知り尽くした自分たちのアトリエでこの空間を最大限生かした芝居を作る。この1年間の充電期間(ということにしておこう)を無駄にしない。もう後がない状態で最後の戦いに挑む、そんな覚悟を感じさせる芝居だった。でも、実に冷静で、細部まで目が行き届いている。ベテラン劇団だからこそ可能なスタッフワークだ。特に舞台美術(渡辺舞)が素晴らしい。この空間の狭さと高さを最大限に生かした。見上げる先に柱が突き出す。廃墟と化した屋敷。そこは100年の歴史の跡だ。
物語はここを舞台にした4世代にわたる家族の歴史だ。ひとつの鍵を手にしたところから始まる。1990年。彼女はそこに帰ってくる。国有化された今は誰もいないはずの屋敷に。そこに戻ってくるところからはじまるのだが、そこには、、、
遡って1945年。そして2011年の今。結婚式前夜。新しい歴史が始まる。3つの時代を縦横無尽に往還しながら、100年の物語は綴られる。
ある家を舞台にしたある家族のお話。だがそれはクロアチアの歴史を描く壮大なドラマ。ここに描かれる3つの冬は、日本の歴史の転換点でもある3つの時代とぴったりと重なる。これは遠くの出来事ではない。僕たちのお話だ。
明後日から2週目の上演が始まる。是非、見て欲しい。
PS 後日、もう少し丁寧な感想を書きます。