エンタメなのだが、とてもよく出来ていて2時間、全く飽きさせない。「娯楽活劇はこうじゃなくっちゃ、」と思わせてくれる快作だ。お話自体は『インファナル・アフェア』なのだが、そんなこと、気にならない。ストーリーがパクリでも、ちゃんとお話の中にそれが消化されていたなら、それはそれで立派なオリジナルになる。その好例だ。
清朝の頃、海賊たちが海軍と争う中、東インド会社が絡んできての壮絶な騙し合いが、派手なダンスシーンとアクションシーンをふんだんに取り込んで描かれる。
ストーリーがとてもよく出来ていて、演出のテンポもいい。複雑に入り組んだドラマを上手く整理して、しかもこれだけのキャストによる大群像劇であるにもかかわらず、破綻なく1本の作品として見事に昇華させる。浜口望海の台本、ドヰタイジの演出は、見せ方、見せ場の設定、アクションダンスとストーリー部分のバランス、すべてにおいて、完璧。
30人を越える大所帯をまとめあげ、壮大なロマンを見せきる。ツボを押さえた演出でカタルシスのある2時間を提示する。これぞ、エンタメの王道だ。ラストも海賊たちのロマンを感じさせて、とてもいい。お話自体はここでちゃんと終わるのだけど、心情的にはこの先をまだまだ見たい、という、そんな気分にさせてくれるというのも心憎いくらいに上手い。