この中編小説のもの足りなさは、中途半端な長さのせいだけではなく、主人公の15歳の少女と37歳の同居人の関係性を曖昧にしたまま、話が最後まで行くからだ。ストーリーのメリハリを、敢えて追わないという作り方になっている。彼女たち2人の感情を理屈ではなく、揺れ動く感情のまま、不安定に捉える。
少女の両親は、自分たちの友人で自殺願望があり、身の置き場のない女性レミちゃんを同居させ、彼女の面倒を娘である藍子にみさせる。そこから何が見えてくるのかを明確にしない。彼女の秘密を暴くことがクライマックスにはならない。すべてが曖昧なまま、終わるのかというと、そこまではしない。彼女の秘密が伝えられて、そこからどうなるのかは描かれない。大人なのだからいい加減、甘えないで自立して欲しい、と望むのは最初から分かりきっていた話だ。そんな夫婦を背景に置いて、主人公2人のドラマが綴られる。
やさしい彼ら、夫婦は、レミを甘やかしたまま、娘の藍子に彼女の世話を任してきた。15歳の受験生である彼女は、レミちゃんのことが嫌いではない。いい年をして、子どものままの彼女に、興味を持つ。誰も、彼女を追いつめない。だが、結果的には藍子はいつのまにか彼女を追いつめることになった。イライラする。
別に何かが起きて状況が大きく変化しなければならないわけではない。そんなお話の世界のようなことは、小説だからって、そうでなくてはならないと、言うわけではない。だが、ここまで、何もなく、始まり、終わると、なんだか変な気分になる。説明が欲しいわけではない。だが、何もないことの意味は欲しい。これでも十分ドラマチックだ、と言われたなら、そんな気にもなるけど、大事なことからこの小説は逃げている気がする。なんだか難しい。
少女の両親は、自分たちの友人で自殺願望があり、身の置き場のない女性レミちゃんを同居させ、彼女の面倒を娘である藍子にみさせる。そこから何が見えてくるのかを明確にしない。彼女の秘密を暴くことがクライマックスにはならない。すべてが曖昧なまま、終わるのかというと、そこまではしない。彼女の秘密が伝えられて、そこからどうなるのかは描かれない。大人なのだからいい加減、甘えないで自立して欲しい、と望むのは最初から分かりきっていた話だ。そんな夫婦を背景に置いて、主人公2人のドラマが綴られる。
やさしい彼ら、夫婦は、レミを甘やかしたまま、娘の藍子に彼女の世話を任してきた。15歳の受験生である彼女は、レミちゃんのことが嫌いではない。いい年をして、子どものままの彼女に、興味を持つ。誰も、彼女を追いつめない。だが、結果的には藍子はいつのまにか彼女を追いつめることになった。イライラする。
別に何かが起きて状況が大きく変化しなければならないわけではない。そんなお話の世界のようなことは、小説だからって、そうでなくてはならないと、言うわけではない。だが、ここまで、何もなく、始まり、終わると、なんだか変な気分になる。説明が欲しいわけではない。だが、何もないことの意味は欲しい。これでも十分ドラマチックだ、と言われたなら、そんな気にもなるけど、大事なことからこの小説は逃げている気がする。なんだか難しい。