4つの集団による4つの短編を連続上演する。ひとり芝居から3人芝居まで。20分から40分くらいまでのバラエティに富むラインナップ。愛媛の劇団パッチワークスによる企画上演。なんだかとても不思議な作品ばかりで、2時間10分と結構長いのに、あっという間のできごとだった。企画した村山公一さんのセンスが光る。いずれの作品も長編では難しい、短編だからこそ出来る、という切り口を用意しているのがいい。
ティッシュの会「にぎる」は、ふたり芝居なのだけど、ふたりの掛け合いではなく、同じ場所にいるのに、別々に芝居が展開している。なんだかとても変。そこが魅力的。こいう芝居があるのか、と驚く。けっこうの長さだけど飽きさせない。
パッチワークス「M(meta/mass)」。3人の女たちのそれぞれの生活を聞き出す。誰がどうだとか、そういう問題ではなく、それぞれ自分をちゃんと生きている。聞き手である男の姿は見えないまま。不在の男が気になる。彼女たちからこういう話を聞き出してそれを芝居にしてどうしようとするのか。地方都市で暮らす女子大生の告白、というパッケージングはあまり意識しないけど、見終えた時、そこが何故か気になる。
劇団ハタチ族『百万年トランク』(作、演出は樋口ミユ)はたくさんあるエピソードから2つをチョイスしての上演らしい。なんでもないことを、さらりと見せる。西藤棋人さん自身をそのまま芝居にしたような作品。(もちろん、そうじゃないだろうけど)
同じようにひとり芝居World Wide Worksの「風習」。これもなんでもないことを、さらりと見せる。ひとり語りで自分のこの10年間をしゃべる、というスタイル。どこまでが芝居でどこからが本当なことなのか、なんて別にどうでもいいことなのだけど、まるでドラマチックではないから、ただ自分のことをおしゃべりしているようにしか見えない。
ここには特別なことは何一つない、とも言えるけど、なんだかいずれも今まで見たことのない新鮮さで、さりげないけど、演劇の可能性を提示する作品ばかりだった。お話自身は実をいうとあまり覚えてないのだけど、その不思議な感触だけは明確に残っている。だから実をいうと、何も書けない。まぁ、それでいいか、と思うことにした。