こりゃ、いったいなんだぁ! 思わずそう叫びたくなるような奇想天外な小説で、読みながらどう受け止めたらいいのか、とまどう。一応熱血スポーツ小説、という感じなのだが、その言葉から想像できるものからは、100万光年離れてる。高校の掃除部! なんだぁ、掃除部って、と思うでしょ。冗談か、と思う。そういうコメディーね、って思うでしょ。でも、そうじゃないのだ。この掃除というスポーツはこの国の国技だったスポーツの流れを汲む由緒正しいもので、だが、現在は活動制限スポーツとして国家からも目をつけられているらしい。
ストーリーの奇抜さをここで解説しても仕方ない。それは読んでもらえばいい。そんなことよりこの小説の驚きはこの世界観である。よくぞここまで見事に作り上げたものだ。もちろん三崎亜紀だから、いつものことと言えばそれまでなのだが、従来の作り方とは一味違う。先にも書いたが、これはスポーツ小説という枠組みをきちんと踏襲しているのだ。そかも最初は冗談と紙一重で展開する。だから、どう読めばいいものやら、わからないまま、200ページくらいまで、来てしまうのだ。全体が470ページに及ぶ大作である。なのに、半分近くまできても、読み手のスタンスが定まらないって凄くないか。それくらいに、全体が見えない小説なのだ。
しかも、わざとだろうが、この手のスポーツもののワンパターンをあきれるくらいに見事に踏襲する。お約束はひとつとして外さないのだ。その嘘くささはあざといほどだ。もちろん意図的な行為で、そのルーティンワークが、これを摑みどころのない不気味な小説としている。終盤になってもまるで帰着点が見えないのも見事だ。地区大会から、州大会。全国大会へと駒を進めるのは、スポーツものの常だ。なぞの美少女とか、ライバルとか、まるでやる気のない監督が、実は! とか、もうどこまでありきたりの展開を見せてくれるのか、と思う。なのに、その先は見えない。
本当は決して熱血なんかではないのだ。これは、体温が低いいつもの三崎亜紀である。わざとこういう演技をして見せるだけだ。そこが、なんともいえず、憎たらしい。
ラスト20ぺージになっても、全国大会の話にはならないし、掃除を巡る謎は解けない。それどころか、急転直下で謎は深まる、という展開だ。これは明らかにここで終わるのではなく、ここから始まるというパターンである。だが、読み終えたとき、この小説が答えを先にのばしたのではない、ということがわかる。主人公の2人が大会の会場のゲートをくぐる瞬間までのドラマである。
僕たちは恐れてはならない。自分たちの前に横たわる巨大なものを。この小説はどんな状況にも通用する普遍的な事実を描いている。だから、こんなにもワクワクするし、先が気になる。僕たちの「答え」を求める旅は永遠に続くのだ。
ストーリーの奇抜さをここで解説しても仕方ない。それは読んでもらえばいい。そんなことよりこの小説の驚きはこの世界観である。よくぞここまで見事に作り上げたものだ。もちろん三崎亜紀だから、いつものことと言えばそれまでなのだが、従来の作り方とは一味違う。先にも書いたが、これはスポーツ小説という枠組みをきちんと踏襲しているのだ。そかも最初は冗談と紙一重で展開する。だから、どう読めばいいものやら、わからないまま、200ページくらいまで、来てしまうのだ。全体が470ページに及ぶ大作である。なのに、半分近くまできても、読み手のスタンスが定まらないって凄くないか。それくらいに、全体が見えない小説なのだ。
しかも、わざとだろうが、この手のスポーツもののワンパターンをあきれるくらいに見事に踏襲する。お約束はひとつとして外さないのだ。その嘘くささはあざといほどだ。もちろん意図的な行為で、そのルーティンワークが、これを摑みどころのない不気味な小説としている。終盤になってもまるで帰着点が見えないのも見事だ。地区大会から、州大会。全国大会へと駒を進めるのは、スポーツものの常だ。なぞの美少女とか、ライバルとか、まるでやる気のない監督が、実は! とか、もうどこまでありきたりの展開を見せてくれるのか、と思う。なのに、その先は見えない。
本当は決して熱血なんかではないのだ。これは、体温が低いいつもの三崎亜紀である。わざとこういう演技をして見せるだけだ。そこが、なんともいえず、憎たらしい。
ラスト20ぺージになっても、全国大会の話にはならないし、掃除を巡る謎は解けない。それどころか、急転直下で謎は深まる、という展開だ。これは明らかにここで終わるのではなく、ここから始まるというパターンである。だが、読み終えたとき、この小説が答えを先にのばしたのではない、ということがわかる。主人公の2人が大会の会場のゲートをくぐる瞬間までのドラマである。
僕たちは恐れてはならない。自分たちの前に横たわる巨大なものを。この小説はどんな状況にも通用する普遍的な事実を描いている。だから、こんなにもワクワクするし、先が気になる。僕たちの「答え」を求める旅は永遠に続くのだ。