習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『Dear Friends』

2007-02-20 19:52:32 | 映画
 みんなから羨ましがられる完璧な女の子、リナ。小さな頃から周囲の関心を集め、何をさせても一番で、お金持ちで、美しい少女。そんな女の子に憧れ、彼女のお誕生日会に初めて呼ばれて、ドキドキしながら行くもう一人の女の子、マキ。貧乏なのでプレゼントも買えず、道端の花を摘んで持って行く。でも、リナはそんな花を「ありがとう」と受け取ってくれた。

 子供の頃の、たったそれだけの思い出がマキのその後の人生の全てを支える。彼女に優しくされた記憶がずっと心の中にはある。リナは、もちろんそんなこと、全く記憶の片隅にも止めていない。そんな少女の存在すら、ずっと忘れていた。

 これはこんな2人の女の子の友情の物語だ。映画としては甘くて、作り方も緩すぎるので、見ていて少し眠くなってしまうくらいだ。だけれども、前述のエピソードを介して、マキ(本仮屋ユイカ)がガンに侵されたリナ(北川景子)を献身的に介護する無邪気な姿の意味が変わってくるところが素晴らしい。

 その後、マキが学校でいじめられていて、リストカットの常習者で、さらには不治の病に侵されていて、なんていう展開は、「おいおい、それじゃぁ、まるでチェ・ジウの『連理の枝』の女の子同士バージョンじゃないか。」と突っ込みを入れたくなるが、まぁ、こういう子供向けの青春映画なのでしかたない。

 本仮屋ユイカがほんとうに地味で、全く存在感がない女子高校生を見事に演じていて、驚かされる。対して北川景子が夜遊びを繰り返し、親にも学校にも反発する最低な女を胸クソが悪くなるくらいに紋切り型に演じており、その対比から、スタートしていくのも、後で考えたら、なかなか上手い。

 映画としてはどうこう言うレベルではないのだが、作り手が、この映画の肝をしっかり押さえているので見て損をした気にはならない。

 友情が、どうのこうのとか言うのは、どうでもいいが、一つの想いが相手の胸にどう伝わっていくのか、そのためには何が必要なのか、がしっかり描かれてあるのがいい。

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