祖父が死んだ。両親のいない兄弟は、なんとか自分たちで葬儀も済まし、今は残された祖父の家の整理をしている。遺品整理をするそんな3人のスケッチである。だが、この3人の関係性がなんだかよくわからない。ふたりは姉弟のようなのだが、もうひとりは彼らに敬語を使うから、従弟かなんかなのかと思ったけど、それなら祖父にはふたりの子供がいたことになるはず。彼らは両親は死んだというけど、2家族とも?って、それは不自然。なんだかよくわからないまま、だらだらと、お話は進む。何を描こうとしたのかも明確にならないまま、片づけをする3人の姿が描かれていく。芝居は、そこから自由人だった祖父への想いが綴られてもよかった。いや、そうなるべきだ。でも、そのへんはなぜかちゃんと描かれない。
3人は遺書はないかと捜す。やがてアルバムから出てきた祖父の愛人の写真。彼女は何者なのか、という話へと進展していく。魔女のような女だ。そんな彼女に会いに行く。ここでも彼女と祖父との関係は明確にはされないまま、終わる。いろんなことが中途半端なまま放置される。それもまた意図なのかもしれないが、その理由は明かされない。そしてラストに突入。
ラストのあのオチには驚かない。なんとなくそういう事だろうとは予想できていたからだ。だけど、お話の前半ではまるでそういうことを匂わさないでいるので、そこはちょっとずるい。彼ら3人の不自然さや、彼らの家庭環境を小出しにしてサスペンスを盛り上げてもよかったのではないか。物語の方向性があまりに曖昧なまま進むから観客は置いてけぼりを食らう。これでは最後まで見ても、これが何を描いていたのか、わからないままの人もいるのではないか。観客に対して少し親切ではない。だけど、もっと説明しろ、とは思わない。これはこれでいいのだけど、観客に想像させるだけのヒントを出してもよかったのではないか、とは思う。
家族を失い、ひとりぼっちになった孤独とどう向き合うのか。彼の不安な思いが、呼び出したふたりとの関係性をもう少し描きこんでもよかった気がする。作・演出 湊游。描こうとするものをしっかり持ち、その方向性は確かだ。ただ今はまだその方法を模索中という感じか。これからが楽しみだ。タイトルの「セカンド・ライン」というものをもっとちゃんと芝居の中に取り込み、生かせていたならよかった。そうすると作り手の意図がもっと明確になったはずだ。惜しい。