たまたま『クリーピー』と同じ日に見てしまった。こんなにも同じ話の映画をたまたま続けて見ることになるなんて。一家惨殺事件の残された被害者である少女、そんな彼女のその後を描く。でも、アプローチがまるで違うから、かぶらない。どちらも傑作である。
こちらは『サラの鍵』を撮ったジル=パケ・ブランネール監督作品。『ゴーン・ガール』の原作者の小説なので、お話の仕掛けがちゃんと用意される。だが、映画自体は重厚な人間ドラマだ。単純なサスペンスではない。シャリーズ・セロンが心に傷を負ったまま、28年間を過ごした女を見事に見せる。8歳の少女の抱えるトラウマ。その封印が解かれる。
28年前何があったのか。犯人として拘留された兄は本当に犯人だったのか。彼女は嘘の証言をしたのか。8歳だった少女に事実を見極めるだけの目があったのか。真実はどこにあるのか。「殺人クラブ」からの招待状を受けたのはお金のためだ。今、彼女は生活に困っている。あれからずっと普通には生きらきれなかった彼女は今もあの殺人現場の中にいる。そこに囚われたままだ。そんな彼女が禁断の闇を開くことになる。
事件の真相はあまり面白くはない。だが、ポイントはそこにはない。何かに囚われたまま、人生を終わらせるなんて、不幸だ。彼女の封印が解かれ、初めて自分の人生を生きるまでのドラマとしてこれを見ればよい。