ポプラ社からの新刊だから借りてきた。タイトルにも心惹かれた。フリースクールの話だが、冒頭近くのまど兄の言葉で,この小説は大丈夫だと思った。「自分で考えることが大事。」「今の学校は考える前に与えすぎてるんや、」という言葉がいい。わかりやすい。
隣人でひとつ下の友人が自殺したことに引きずられて不登校になってしまった主人公が、東京だけど郊外の森にある全寮制のフリースクールに入って、そこで傷みから回復していくまでを描く1年半の記録。
ここでの自由な生活を通して、頑なだった心が少しずつ癒されていく過程が丁寧に描かれていく。同時入所の女の子や、もうひとりの同級生。たった3人だけの同学年生(中2)の絆。川や森という自然の中にいることが彼らを元気にする。座学よりフィールドワーク。勉学と遊びの差はない。同じくらい大事。ここでの暮らしは生きていく力を作る。当たり前のことを当たり前に描くことがこんなにも彼らを勇気づける。ここを卒業して、自分のしたいことを見つけ邁進する高校生になった彼らは眩しい。