ホン・サンス監督の2008年作品。相変わらずの話で、こういう映画はもう何度も見た気がするけど、この映画を見るのはきっと初めてのはず。だけどこの映画と同じような映画は山盛りあるホン・サンスです。2012年に4本同時に劇場公開されたホン・サンス特集の1本。
知る人ぞ知るアート系映画監督のギョンナム(明らかにホン・サンスを自虐的にモデルにした)と、彼をめぐる人間模様を軽妙なタッチで描いたラブコメディだ(一応は)。ある映画祭の審査員を引き受けて現地入り。スタッフや審査員のメンバーとの相変わらずの飲み会に突入。先輩も合流して、飲み過ぎた女性スタッフを置いてけぼりにした。翌日、さらにはここで暮らす知り合いがやって来てふたりで飲み明かし、彼の家まで行き、朝を迎える。知人は何故か死んでしまい、動揺した知人の奥さんと良からぬ関係になったみたいで、翌朝起きた知人から(死んでないやん?)追い出される。
後半は13日後。映画学校の講師として、合宿みたいなのに参加して、学生たちとまた夜は飲み会。朝までコース。先輩の家に呼ばれて行き、飲み会。もうこればっか。先輩の奥さんが昔の恋人で、彼女から誘われて関係を持つ。そこを近所の人に見つけられ、先輩が戻ってくるまで監禁される。
と、ストーリーを書きながら、飲んでばかり(そこからのセックスも)だと思うが、これがいつものホン・サンスだから何も驚かない。あまりの変わりなさに既視感しかない。モノローグが随所に挟まり、妄想と現実が交錯して、お酒のせいかな、と思うけど、いいかげんだなぁとも思う。
映画はダラダラ何事もなく綴られる。2時間6分はホン・サンス映画としては破格の長尺。しかもこのたわいなさ。映画としてどうだか、と思うけど、あっけらかんとしていて、悪びれない。