大好きだったジム・ジャームッシュの久々の新作である。これを見ないわけにはいかない。だが、前作『ブロークン・フラワーズ』同様なんとも気の抜けた映画で、やはり彼はもう過去の人なのか、と思うしかない。あれほど僕たちを興奮させたそっけないスタイルが形骸化し、空虚なだけだ。これには驚くしかない。時代が変わったのに、彼ひとりが変わらないからなのか。でも、そんな頑固さが魅力になることも可能だろうが、そうはいかない。スタイリッシュってその時代にしか通用しないものなのか?それは、やがて時代錯誤に変化するとでもいうのか。
何もないことがこんなにもドキドキしないって、どういうことだ。これではただの退屈な映画ではないか。現に少ない観客の幾人かは寝ていた。わざわざ劇場まで来るような熱心な客を寝かしてしまうなんてあんまりだ。
だが、これは決して悪い映画ではない。僕は実はけっこう楽しんでいた。ジャームッシュらしいわけのわからなさが嫌いではないからだ。スペインくんだりまでやってきてただ寡黙に依頼人を待つ。彼に課された仕事が何なのか、はいつまでたってもわからないまま、ただ待つ。同じように彼に接触してくる人たち、徐々に核心に近づく。そしてようやく依頼が判明する。
正直言うとこれをクールだとは思わない。バカバカしいと思う。こんなのないよ、と思う。きっとそうだろうとは薄々勘付いていたが、あれはない。銃を使わない殺し屋かぁ。でもなぁ、と思う。
セリフはほとんどない。主人公はスペイン語話せないし、もともと無口な殺し屋だから。クリストファー・ドイルによる撮影はこの映画のタッチによくマッチしている。華麗なのにそっけない。まるで夢の中を彷徨うようだ。この映画にはお話はない。流されていくように、ただ、さすらうだけだ。彼がどこまで行くのか見守るのが、この映画の使命だ。だから依頼を受け任務を全うすることにはなんの意味もないのだろう。
ジャームッシュの意図はわからないでもないのだが、それだけでは映画としてはもう成立しないのだ。残念ながら。見終えてなんだか虚しい気分になる。
何もないことがこんなにもドキドキしないって、どういうことだ。これではただの退屈な映画ではないか。現に少ない観客の幾人かは寝ていた。わざわざ劇場まで来るような熱心な客を寝かしてしまうなんてあんまりだ。
だが、これは決して悪い映画ではない。僕は実はけっこう楽しんでいた。ジャームッシュらしいわけのわからなさが嫌いではないからだ。スペインくんだりまでやってきてただ寡黙に依頼人を待つ。彼に課された仕事が何なのか、はいつまでたってもわからないまま、ただ待つ。同じように彼に接触してくる人たち、徐々に核心に近づく。そしてようやく依頼が判明する。
正直言うとこれをクールだとは思わない。バカバカしいと思う。こんなのないよ、と思う。きっとそうだろうとは薄々勘付いていたが、あれはない。銃を使わない殺し屋かぁ。でもなぁ、と思う。
セリフはほとんどない。主人公はスペイン語話せないし、もともと無口な殺し屋だから。クリストファー・ドイルによる撮影はこの映画のタッチによくマッチしている。華麗なのにそっけない。まるで夢の中を彷徨うようだ。この映画にはお話はない。流されていくように、ただ、さすらうだけだ。彼がどこまで行くのか見守るのが、この映画の使命だ。だから依頼を受け任務を全うすることにはなんの意味もないのだろう。
ジャームッシュの意図はわからないでもないのだが、それだけでは映画としてはもう成立しないのだ。残念ながら。見終えてなんだか虚しい気分になる。
ボクもジャームッシュは好きでしたが、今では本当に過去の人になっちゃったのかなと思います。
それでも新作がでれば観にいってしまうのですけど・・・・。