6年の歳月をかけて作られた短編連作映画だ。4話は2014年から19年にかけて作られた4本の独立した映画だが、つながっているからオムニバスではなく長編作品になっている。春から冬まで、高校時代から社会人になって挫折するまでの4話になっている。ただひとりの女性ではなく複数の女性たちの話。重なる人もいるけど。
脚本、監督は川崎僚。これも女性監督による映画だ。最近やけに女性監督の映画が多い。ようやくそんな時代になってきたのだと思うとうれしい。ただ外国映画と比べ日本映画の女性監督作品はまだまだメインストリームには出てこない。女性だから、という使命感にかられたような映画が多い。困難な中での映画作りがまだまだ続くのだろう。
さて、この川崎監督作品、彼女のこだわりや熱い想いが隅々にまで行き渡っている。粘り強く少しずつ積み重ねてようやく1本の映画として辿り着いた。だが、ここには答えはない。問題提起に留まる。彼女にもわからないからだ。そういう意味では素直な映画だが物足りない。
見せ方、描き方も中途半端でもどかしい。自主映画だし、まだ習作の域を出ない映画だからこのくらいのレベルになるのは仕方ないのかもしれないけど1本の映画としては物足りない。
最後の『雪の女』は40分の中篇で、これまで3話の主人公のその後が描かれる。女だから、と言って済ますことはできないけど、女だからこんな目に遭うことは確かにあるだろう。描かれることはよくわかる。だけど、なんか納得しないのは描き込みが浅く、いかにもの(ただの)「女の子あるある」に終わっているからだ。もう一歩踏み込んだ映画が見たい。真面目で誠実だと思う。それだけに、次回作に期待したい。