たまたま手にした本から自分の未来が開けることもある。しかもそれは本の内容からではなく、『本』自体からだ。主人公の彼は本を作るということに心惹かれる。小学校の先輩が作ったたった一冊の本。自分たちで製本して学校の図書館に寄贈した。原稿作成、イラストも。ワープロ入力、コピー、製本。オリジナルの一冊限りの貴重な本。彼はそこから次に印刷に興味を持つ。それが始まりだ。
友人はサッカー、姉はバスケ。スポーツならわかりやすい。読書が好き,というのもわかりやすい。だけど彼は印刷製本なんていうものに心惹かれる。普通あまり理解されないことだろう。これが将来の夢というわけではないけど、ここから始まる。何かに興味を抱き、調べること。好きを突き詰めることで見えてくるもの。今はまだよくわからないけど、きっとそこには何かがあるはず。
濱野京子はたくさんの児童書を書く。そこで常に新しいチャレンジを見せてくれる。だから新刊を見つけたら必ず手に取って読むようにしている。だってそこには新しい発見があるのだから。