学校の図書館にこの2冊を含む全3巻が入荷した。僕が買ってもらったのだが、この夏ぜひ、高校生に読んでもらいたかった。最初に1巻が出たときに読んで、とてもすがすがしい気分になれた。今までも高校の部活動を舞台にした小説は、多数あった。もちろん傑作も多い。そんな中、この作品は群を抜いている。
マイナースポーツを題材にするというのも、よくあるパターンで森絵都の『DIVE!』(もちろん、飛び込み)はその代表だと思う。今回ボート部を濱野京子は取り上げた。ボートには既に『がんばっていきまっしょい』という傑作がある。だが、ここに描かれたものは、ボートではない。ボートを通した普遍的な高校生の姿だ。この本はすべての部活動にいそしむ高校生のための物語ではないか、と思う。もちろん、そういう意味ではこの手のスポーツを描いた作品はみんな多かれ少なかれそういうものなのだが、この作品は、あまりにあたりまえで、どこにでもあることを描いた、という意味で、白眉だ。
インターハイで3位になる(最後は2位)という意味では、彼女は特別な存在に見えるかもしれない。だが、彼女は選ばれた存在ではない。どこにでもいる普通の女の子だ。そんな女の子がたまたま、ボートに魅せられ入部して、気がつけば必死になって部活にいそしんでいる。その結果関東大会やインターハイがついてきた。それだけのことなのだ。結果はすべてではない。そこに至るドラマこそが大事。
実は先日、この2.3巻を読んでなかったことに気がついた。1巻だけ読んで、満足して、というか、その時はまだ2,3巻は出版されてなかったのだ。本を手にして初めて、あれ、って思った。そうか、まだ2年、3年の有里(主人公)の時間は読んでなかったのだ。やったぁ、と思った。ということで、この3日間は至福だった。2冊連続で読む。2巻は2年生。3巻は3年生の時間が描かれる。これも、パターンだ。『武士道シックスティーン』がそうだった。あれも3巻構成。その時も一番楽しかったのが、1巻。高校1年生の1年間が、高校生活で一番楽しいからだ。もちろん一番しんどいのも1年生の時間だけど。『武士道シックスティーン』のよさは、がむしゃらに挑んでいくところにある。主人公2人の対照的なあり方が面白い。
『レガッタ!』も同じ。1巻が一番おもしろかった。2巻は試練の巻。けがでインターハイを断念して挫折する。でも、3巻は最後のインターハイ。しかも、1年の頃からの仲間たちだけのチームで挑む。
もちろん、こういうお話についてはどうでもいい。読めばわかるし。それに、ある種のパターンだからだ。大事なことはそこではない。彼女たちがどんなことを想い、何をするかだ。それは僕たちの日常と変わらない。でも、どこにもない自分たちだけのかけがえのない時間。それが描かれる。
夏休み、まず、この本を読んでから始めよう、と僕がみんなにお願いしたのだが、誰も借りずに、図書館に残っていた。残念だ。でも、おかげで僕がこの3日間楽しめたのでよしとしよう。高校生は今の自分の時間を生きるのに忙しいから、なかなか本なんか読めない。とほほ。
マイナースポーツを題材にするというのも、よくあるパターンで森絵都の『DIVE!』(もちろん、飛び込み)はその代表だと思う。今回ボート部を濱野京子は取り上げた。ボートには既に『がんばっていきまっしょい』という傑作がある。だが、ここに描かれたものは、ボートではない。ボートを通した普遍的な高校生の姿だ。この本はすべての部活動にいそしむ高校生のための物語ではないか、と思う。もちろん、そういう意味ではこの手のスポーツを描いた作品はみんな多かれ少なかれそういうものなのだが、この作品は、あまりにあたりまえで、どこにでもあることを描いた、という意味で、白眉だ。
インターハイで3位になる(最後は2位)という意味では、彼女は特別な存在に見えるかもしれない。だが、彼女は選ばれた存在ではない。どこにでもいる普通の女の子だ。そんな女の子がたまたま、ボートに魅せられ入部して、気がつけば必死になって部活にいそしんでいる。その結果関東大会やインターハイがついてきた。それだけのことなのだ。結果はすべてではない。そこに至るドラマこそが大事。
実は先日、この2.3巻を読んでなかったことに気がついた。1巻だけ読んで、満足して、というか、その時はまだ2,3巻は出版されてなかったのだ。本を手にして初めて、あれ、って思った。そうか、まだ2年、3年の有里(主人公)の時間は読んでなかったのだ。やったぁ、と思った。ということで、この3日間は至福だった。2冊連続で読む。2巻は2年生。3巻は3年生の時間が描かれる。これも、パターンだ。『武士道シックスティーン』がそうだった。あれも3巻構成。その時も一番楽しかったのが、1巻。高校1年生の1年間が、高校生活で一番楽しいからだ。もちろん一番しんどいのも1年生の時間だけど。『武士道シックスティーン』のよさは、がむしゃらに挑んでいくところにある。主人公2人の対照的なあり方が面白い。
『レガッタ!』も同じ。1巻が一番おもしろかった。2巻は試練の巻。けがでインターハイを断念して挫折する。でも、3巻は最後のインターハイ。しかも、1年の頃からの仲間たちだけのチームで挑む。
もちろん、こういうお話についてはどうでもいい。読めばわかるし。それに、ある種のパターンだからだ。大事なことはそこではない。彼女たちがどんなことを想い、何をするかだ。それは僕たちの日常と変わらない。でも、どこにもない自分たちだけのかけがえのない時間。それが描かれる。
夏休み、まず、この本を読んでから始めよう、と僕がみんなにお願いしたのだが、誰も借りずに、図書館に残っていた。残念だ。でも、おかげで僕がこの3日間楽しめたのでよしとしよう。高校生は今の自分の時間を生きるのに忙しいから、なかなか本なんか読めない。とほほ。