こんな小説もたまにはいい。気持ちよく読めた。YA小説というなんだかよくわからないジャンルのコーナーで見つけた。軽く読める本が欲しい時、ときどきこの棚に手を伸ばす。知らない作家の本で、でも、なんだかいい感じ、そんな本がある。その中には軽過ぎて物足りないものも多い。でも、思いもしない秀作が隠れていることもあるから要注意だ。今回も、まるで期待しないで読み始めた。
すぐに読み終えれる。電車の往復1回半分だ。200ページちょっと。でも、字がぎっしり詰まっているわけではないから、一瞬で読み終わる。最後は読み終えるのがなんだか惜しい気になりながら読む。この世界に嵌っている。たった1年の山村留学だ。父親の仕事のため、小学校6年の1年間を山の中の学校で送ることになった少女の物語である。
最初は嫌だった。誰も知らない田舎の村で、周囲は生まれた頃からみんな顔見知りだらけの村に入り込み暮らすのである。東京育ちの都会っ子。何の取り柄もない目立たない子。わざと目立たないフリをしている。まぁ、それは自己防衛の手段だ。そんな彼女が、木の魅力、そして、木工の魅力に取りつかれ、山にある工房に通い、そこの木工職人(木材工芸アーチストか)であるデンさんと知り合う。彼女は木工少女となる。
それをきっかけにして、やがて彼女はクラスのみんなとも溶け合うこととなる。よくあるパターンの小説で、なんら新しいことはない。でも、このあっさりした小説を読んでいると心が弾む。このなんでもない小説に癒される。特別なことはいらない。ただ、当たり前のことをちゃんと書いてくれたなら、それだけで幸せな気分になれる。小説はこんなふうに「どこにでもいる僕たち」の生活のスケッチでいい。ありふれたドラマの中に(それだからこそ)心に沁みるものがある。作者がちゃんとこの女の子と向き合ってくれるから、気持ちがいいのだ。子どもをなめてはいけない。それは児童文学の基本姿勢だ。そんなあたりまえに忠実な小説だから気持ちよく読めるのだ。
すぐに読み終えれる。電車の往復1回半分だ。200ページちょっと。でも、字がぎっしり詰まっているわけではないから、一瞬で読み終わる。最後は読み終えるのがなんだか惜しい気になりながら読む。この世界に嵌っている。たった1年の山村留学だ。父親の仕事のため、小学校6年の1年間を山の中の学校で送ることになった少女の物語である。
最初は嫌だった。誰も知らない田舎の村で、周囲は生まれた頃からみんな顔見知りだらけの村に入り込み暮らすのである。東京育ちの都会っ子。何の取り柄もない目立たない子。わざと目立たないフリをしている。まぁ、それは自己防衛の手段だ。そんな彼女が、木の魅力、そして、木工の魅力に取りつかれ、山にある工房に通い、そこの木工職人(木材工芸アーチストか)であるデンさんと知り合う。彼女は木工少女となる。
それをきっかけにして、やがて彼女はクラスのみんなとも溶け合うこととなる。よくあるパターンの小説で、なんら新しいことはない。でも、このあっさりした小説を読んでいると心が弾む。このなんでもない小説に癒される。特別なことはいらない。ただ、当たり前のことをちゃんと書いてくれたなら、それだけで幸せな気分になれる。小説はこんなふうに「どこにでもいる僕たち」の生活のスケッチでいい。ありふれたドラマの中に(それだからこそ)心に沁みるものがある。作者がちゃんとこの女の子と向き合ってくれるから、気持ちがいいのだ。子どもをなめてはいけない。それは児童文学の基本姿勢だ。そんなあたりまえに忠実な小説だから気持ちよく読めるのだ。