久々に「これぞ広木隆一監督作品!」と快哉を叫びたくなるほど、心地いい映画だった。2時間15分もあるのに、まるで時間を感じさせない。でも、これは「廣木」ではなく昔のポルノ映画を撮っていた時代の「広木」監督のテイストなのだ。1時間ほどのポルノ映画を軽々としたタッチで撮る。別段たいした映画ではないけど、でも、気持ちのいい作品。
いつのまにか、巨匠の仲間入りして、大作映画や感動作品、文芸物から、少女マンガ原作の青春ものまで、なんでもこい、の彼だけど、でも、その根底には、こういういじましい映画が似合うし、そこが彼の出自だ。ようやく、そこに戻ってきたのだ。グランドホテル形式、だなんて大仰なことを言わない。ただいろんな奴がいる映画。本当なら5本分(くらい)のポルノ映画を1本にした映画。そんな感じだ。
歌舞伎町のラブホテルを舞台にして、そこにやってくる客たちと従業員の1日を淡々と見せていくだけの映画。朝起きたところから始まり、翌日の同時刻まで。24時間のドキュメントになっている。だが、そのなかで、彼らは大きな転機を迎える。そんな特別な日、なんだが、そこにはあまり気負いはない。それどころか、一応の主人公である染谷将太は、今日がそんな日になるなんて思いもしなかった程なのだ。(他の人たちはそれぞれ最初からこの日が特別な日だと思い、1日をスタートしているのと対照的に)
朝起きて、彼女(前田敦子)がギターを弾いていて、二人で自転車二人乗りして、出勤する。彼は一流ホテルのフロントマンになるはずだったが、今は歌舞伎町にあるラブホの店長をしている。彼女には嘘をついている。彼女はミュージシャンを目指して、今日のライブ次第ではメジャーデビューも可能。スカウトが見に来るのだ。だから、彼女にとって今日は特別な日。
複数の男女が織りなす群像劇だ。彼らだけではなくいくつものカップルがここには登場する。そのいずれにとっても、この日は特別な日になる。そして、タイトルにあるように彼らはそれまで過ごしてきたこの猥雑な街、歌舞伎町から離れることになる。
時系列に描かれる複数のドラマが錯綜して、それらが重なり合い、離れつつ、でも、ちゃんとみんなにとっての「この1日」が、丁寧にフォローされていく、そんな優しい映画だ。そして、痛ましい事件もあるけど、(例えば、立ちんぼしている女は客に殺される)それぞれが、それぞれの新しい一日に向かっていく。なんだか、これはとても元気になる映画なのだ。そしてそれでこそ、広木映画だ。映画館を出て自分の人生と向き合う時、僕もまた、幸せにならなくては、と思う。
いつのまにか、巨匠の仲間入りして、大作映画や感動作品、文芸物から、少女マンガ原作の青春ものまで、なんでもこい、の彼だけど、でも、その根底には、こういういじましい映画が似合うし、そこが彼の出自だ。ようやく、そこに戻ってきたのだ。グランドホテル形式、だなんて大仰なことを言わない。ただいろんな奴がいる映画。本当なら5本分(くらい)のポルノ映画を1本にした映画。そんな感じだ。
歌舞伎町のラブホテルを舞台にして、そこにやってくる客たちと従業員の1日を淡々と見せていくだけの映画。朝起きたところから始まり、翌日の同時刻まで。24時間のドキュメントになっている。だが、そのなかで、彼らは大きな転機を迎える。そんな特別な日、なんだが、そこにはあまり気負いはない。それどころか、一応の主人公である染谷将太は、今日がそんな日になるなんて思いもしなかった程なのだ。(他の人たちはそれぞれ最初からこの日が特別な日だと思い、1日をスタートしているのと対照的に)
朝起きて、彼女(前田敦子)がギターを弾いていて、二人で自転車二人乗りして、出勤する。彼は一流ホテルのフロントマンになるはずだったが、今は歌舞伎町にあるラブホの店長をしている。彼女には嘘をついている。彼女はミュージシャンを目指して、今日のライブ次第ではメジャーデビューも可能。スカウトが見に来るのだ。だから、彼女にとって今日は特別な日。
複数の男女が織りなす群像劇だ。彼らだけではなくいくつものカップルがここには登場する。そのいずれにとっても、この日は特別な日になる。そして、タイトルにあるように彼らはそれまで過ごしてきたこの猥雑な街、歌舞伎町から離れることになる。
時系列に描かれる複数のドラマが錯綜して、それらが重なり合い、離れつつ、でも、ちゃんとみんなにとっての「この1日」が、丁寧にフォローされていく、そんな優しい映画だ。そして、痛ましい事件もあるけど、(例えば、立ちんぼしている女は客に殺される)それぞれが、それぞれの新しい一日に向かっていく。なんだか、これはとても元気になる映画なのだ。そしてそれでこそ、広木映画だ。映画館を出て自分の人生と向き合う時、僕もまた、幸せにならなくては、と思う。