この夏、飛行機の中でこの映画を見た。(往復の20時間ほどで合計8本の映画を見た。相変わらずバカだ)帰国の直前までこの映画を見ていた。たまたま最後にまだ時間があるから時間つぶしに見始めたのだが、完全嵌まってしまい、こんなことなら、もっと最初にこの映画を選んでいたらよかったと、後悔した。
小さなモニターで40分見たところで関空に着いてしまったので、とても残念だった。そのまま、飛行機に残って続きが見たいと思ったけど、さすがにそれは無理。日本でも公開されたらいいなぁ、と思っていたら、早速公開された。タイトルが違っていたから、最初は気がつかなかったけど、映画館で貰ったチラシをちらっと読んでいたら、明らかにあの映画だ、と判明。さっそく劇場へ!
あの時は吹き替え版、だったし、小さなモニターで見るより、これは絶対に大スクリーンで見るべき映画だった。ちゃんと映画館で見られてよかった。しかも、公開1週目なので、梅田はスクリーン3番だったし。
2度目なのに、最初の40分も、とても新鮮だった。そこから先は未体験ゾーン。(というか、まだ見てない部分)そこに突入したところから、ますますドキドキが増幅した。中盤から後半へと、期待が高まる。映画自体は先の読める展開だし、安心して見ていられる作品なのだけど、そうとわかっていても、やっぱりドキドキするし、楽しめる。これはハリウッド大作映画の好ましい在り方を体現する作品なのだ。大予算で作られてあるけど、それがちゃんと機能している。感動の実話というパッケージングが嘘くさくはならない。細部まで丁寧に描かれてあるのがいい。
3人の黒人女性たちが、NASAで重要な仕事をやり遂げていく。60年代のアメリカの宇宙開発事業の礎として、さらには黒人差別と戦い、権利を勝ち取るサクセスストーリーとして、とても気持ちよく出来ている。差別の歴史を描くのではなく、ある時代の中で、全力で戦う姿を描く映画で、それが気持ちいいのだ。
女性であるだけでも、あの時代ハンディだったのに、黒人であるというのでは、とてもじゃないが正当な評価を受けるすべはなかった。そんな時代にあって、自分たちの才能を最大限に生かして、誰もが不可能なことに挑戦し、勝ち続ける。胸のすく想いだ。露骨な差別が、全編で展開していくにもかかわらず、暗くて重い映画にはならない。それどころか軽やかで、楽しい映画になる。それは主人公である3人の女性たちが正々堂々戦い、自分の場所を勝ち取るからだ。見ていて元気になれる、そんな映画である。