目に鮮やかな黄色のミニバスに乗って、ロスまで800マイルの旅をするフーヴァー一家の物語は、見ていて暖かい気持ちにさせてくれる佳作である。
家庭は半分崩壊してるのに、それでも何とか壊れきることはなく、一緒に暮らす彼らのもとに、妻の兄がやって来るところから物語は始まる。恋人に棄てられ自殺未遂をしたゲイの彼まで抱え込み、この家族は一体どうなるのか、と思うが、もともととんでもない人間ばかりのこの家に、ひとりくらい増えても大丈夫。
それにしても、よくぞまぁ、こんな変人ばかりを集めてきたものだ。デフォルメしたキャラクター設定なのに、それが自然で、そんな彼らが下の娘のミスコン出場のため、みんなで旅にでる。
旅の中での様々な出来事を通して、彼らの気持ちがほんの少し楽になっていく姿が描かれる。決定的な大事件はない。しかし、それぞれの小事件が重なり合い、バラバラだった家族がひとつにまとまっていく。たわいない話なのだが、とても気持ちよく見せてくれる。
極端すぎるドラマ展開も、それが自然に受け止められるのが不思議だ。生涯現役のエロじいさん(アラン・アーキンである。懐かしい。)が突然死んだり、パイロットになるまでは家族とは話さない兄ちゃんが、色盲だと判明したり、ドライブインで伯父さんが恋人だった男と再会したり、さらには、お父さんのハウトウ本の出版が反故になったりと、盛りだくさんのエピソードが2日間の旅の中には盛り込まれてある。はたして、幼児体型の9歳の少女オリーヴは、ミスコンに出場できるのか?
前述のように、なんか話が出来すぎなのに、それをおかしいとは思うことなく見れる。コメディースタイルなのに、シリアスに展開し、すべてが厭味なく伝わる。ラストのダンスシーン(ミスコンで祖父が教えたストリッパーの踊りを披露するのだ)から、家族全員がステージに上がるという展開なんて、本当ならドタバタになりそうなのに、けっこう感動的に受け入れてしまえるように作ってある。
落ち着いた見せ方をしているから、映画全体が崩れることがないのだ。そして、オリーヴが母をハグするシーン(祖父が死んだことを知った時)、もう一つ、兄をハグするシーン(彼がパイロットになれないと知った時)、この二つの場面が映画の要となっている。そこを抑えてあるので映画がぶれないのだ。
そして、何よりオンボロのミニバスに6人の家族全員が乗って,旅していく姿を軽快に撮れているのが、すばらしい。ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファレスという夫婦監督が、日々の生活を基底に据えて、この非日常の時間をしっかりリアルの撮ったから、映画は成功したのである。6人の描き分けも、あきれるくらいに、個性的なのに、映画には嘘がない。それは、トニ・コレット演じる母の楽天的な性格が、家族を一つに束ねていることの功績が大きい。少女を主人公にはしないで、彼女を狂言まわしとして、実は母を中心に構成したドラマ作りが上手く機能している。だから映画は、危ういところでバランスを取れたのである。もちろん、映画を見てる観客は、そんなことには気付かず楽しめるように出来ているのは当然のことである。
勝ち負けに拘る父親のもと、フーヴァー家の面々はみんな負け組ばかりだが、なのにこの映画は見ている僕らをこんなにも元気にしてくれる。駆け抜ける色鮮やかなサンシャイン色のミニバスに全てを象徴させて、爽やかなロードムービーが誕生した。
家庭は半分崩壊してるのに、それでも何とか壊れきることはなく、一緒に暮らす彼らのもとに、妻の兄がやって来るところから物語は始まる。恋人に棄てられ自殺未遂をしたゲイの彼まで抱え込み、この家族は一体どうなるのか、と思うが、もともととんでもない人間ばかりのこの家に、ひとりくらい増えても大丈夫。
それにしても、よくぞまぁ、こんな変人ばかりを集めてきたものだ。デフォルメしたキャラクター設定なのに、それが自然で、そんな彼らが下の娘のミスコン出場のため、みんなで旅にでる。
旅の中での様々な出来事を通して、彼らの気持ちがほんの少し楽になっていく姿が描かれる。決定的な大事件はない。しかし、それぞれの小事件が重なり合い、バラバラだった家族がひとつにまとまっていく。たわいない話なのだが、とても気持ちよく見せてくれる。
極端すぎるドラマ展開も、それが自然に受け止められるのが不思議だ。生涯現役のエロじいさん(アラン・アーキンである。懐かしい。)が突然死んだり、パイロットになるまでは家族とは話さない兄ちゃんが、色盲だと判明したり、ドライブインで伯父さんが恋人だった男と再会したり、さらには、お父さんのハウトウ本の出版が反故になったりと、盛りだくさんのエピソードが2日間の旅の中には盛り込まれてある。はたして、幼児体型の9歳の少女オリーヴは、ミスコンに出場できるのか?
前述のように、なんか話が出来すぎなのに、それをおかしいとは思うことなく見れる。コメディースタイルなのに、シリアスに展開し、すべてが厭味なく伝わる。ラストのダンスシーン(ミスコンで祖父が教えたストリッパーの踊りを披露するのだ)から、家族全員がステージに上がるという展開なんて、本当ならドタバタになりそうなのに、けっこう感動的に受け入れてしまえるように作ってある。
落ち着いた見せ方をしているから、映画全体が崩れることがないのだ。そして、オリーヴが母をハグするシーン(祖父が死んだことを知った時)、もう一つ、兄をハグするシーン(彼がパイロットになれないと知った時)、この二つの場面が映画の要となっている。そこを抑えてあるので映画がぶれないのだ。
そして、何よりオンボロのミニバスに6人の家族全員が乗って,旅していく姿を軽快に撮れているのが、すばらしい。ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファレスという夫婦監督が、日々の生活を基底に据えて、この非日常の時間をしっかりリアルの撮ったから、映画は成功したのである。6人の描き分けも、あきれるくらいに、個性的なのに、映画には嘘がない。それは、トニ・コレット演じる母の楽天的な性格が、家族を一つに束ねていることの功績が大きい。少女を主人公にはしないで、彼女を狂言まわしとして、実は母を中心に構成したドラマ作りが上手く機能している。だから映画は、危ういところでバランスを取れたのである。もちろん、映画を見てる観客は、そんなことには気付かず楽しめるように出来ているのは当然のことである。
勝ち負けに拘る父親のもと、フーヴァー家の面々はみんな負け組ばかりだが、なのにこの映画は見ている僕らをこんなにも元気にしてくれる。駆け抜ける色鮮やかなサンシャイン色のミニバスに全てを象徴させて、爽やかなロードムービーが誕生した。