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映画・演劇のレビュー

演劇ユニット A・I『プリンの美味しい洗髪店』

2009-03-23 21:42:22 | 演劇
 このタイトルは異常だ。しかも裸で坊主頭の男が目を閉じて手を合わせているその頭の上にプリンが乗っているという写真を前面に出したフライヤーはもっと異常だ。この芝居は一体どんな作品になっているのか、気になって仕方なかった。

 今、実際に芝居も見てきたが、作品はまた別の意味で異常だった。この芝居を作った人たちは絶対に変である。こういう異常な感性はどこから生じるのだろうか。謎である。まず、こんなにもくだらない芝居を作っていていいのか、とあきれた。しかも、けっこう真面目に作っていたりもする。真剣だったりもする。つまらないわけではない。だが、ここにはあまり意味を感じない。断じてふざけているわけではない。とはいえ、ばかばかしいことも事実だ。摑みどころがない。困る。

 7話からなるオムニバススタイルをとる。このばかな話を投げ出すことなくきちんとつないでいこうとする。だが、それにしてもおかしいことだらけだ。だいたい洗髪店ってなんだ?散髪店ならわかるが、洗髪しかしないような店ってありか?もともとはカラーリングをするための店だったことが後でわかるのだが、それでも美容室ではなく、洗髪店を名乗るのは変だ。その拘りは何なのだ?まぁ、気にしても仕方ないから話を先に進めよう。

 ここで洗髪することで、心の傷が癒される、というよくあるタイプのお話である。ここにやってくる人たちはみんな変な人ばかりだ。書けなくなった天才小説家、しょぼいマジックをするエスパー姉妹、女性の下着泥棒、と3話続く。同じパターンの展開。だが、ここからの後半は時間が戻り、まず、なぜこの店が出来たのかが語られる。そして、ここの店主のこと。彼が死んだ友人のことに囚われていることが語られる。

 作者は、どこまで本気でこの話を語るのかよくわからない。2時間近くの長尺を淡々としたタッチで見せる。だが、途中に何度も宴会芸みたいなのが挟まり、最後には大合唱まで。「プリンを鷲掴み」なんていうわけのわからない歌を高らかと歌い上げる。終盤お話は男同士のプラトニック・ラブになる。何がなんだかわからない。

 当日パンフは、なぜか組み立てればケーキセットになる付録つき。それにしてもなんでプリンではなくてケーキなんだろ。

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