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映画・演劇のレビュー

Ugly duckling 『ト⑤ランク 風呂敷屋バージョン』

2009-03-23 22:54:20 | 演劇
 ついに完結した。5週にわたって公演された『トランク』の第5話。今回は舞台に巨大なトランクを作りその中に入ったりもするが、空間の使い方は最初に戻りオーソドックスだ。なんだかぐるっとまわってもとのところに帰ってきた気分だ。実際はまるでそうではないのだが。

 先週の4話で『トランク』自体は終わってしまった。だから、今回はスピンオフって感じだ。(だいたいこの『トランク』自体が『100年トランク』のスピンオフだったのに)同時に、ここからまたこの『トランク』シリーズがさらに続く気分にさせられる。

 今回は、自分をトランクに入れてしまいたいと思う女(得田晃子)が、風呂敷屋(中野聡)に「部屋が丸ごと入るトランクを作って欲しい」と依頼する、という話。風呂敷屋のモノローグドラマとしてスタートする。全体のタッチは第3話に似ている。軽くて、楽しい。目玉のおやじとのやり取りも含めて軽くて、楽しい。

 このシリーズの最後をどんな風に作るのかを楽しみにしていたのだが、思った以上に軽快で鮮やかな幕切れだ。終わりではない終わりというのがよい。ここまでお話の間口を広げたのだから、いったいどんな収拾をつけるのだろうか、と興味深々だったが、うまくはぐらかされた気分だ。まとめるのは第4話でやってしまった以上、今回はその先に進めなくてはならなかった。これはなかなか上手い選択だ。
 
 立ち止まるのではなく、歩き続けるのである。だからラストは、トラ(イシダトウショウ)がここにやってくる場面で終わる。旅はまだまだ続くのだ。

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