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最近けっこう重い小説や映画を連打しているので、ここは少し軽めの楽しい恋愛小説でも、と思い、この本を手に取った。あまり期待はしてなかったのだけれど(最初の設定は引いたけど)お話のパターンを受け入れて、読み進めていくうちにこの小説の世界に嵌っていった。期待通りとても読みやすくて楽しく、そかも考えさせられる。とてもいい作品だった。
ラストのまとめ方は少しだけあざといけど、でも、散りばめたピースをすべてうまく収めるのはエンタメ作品の常套だし、読者を納得させ安心させる。悪くはない。でも、これはさすがに上手く行き過ぎかも。まぁ、気持ちがいいし、スカッとするし、この小説にはぴったりの終わり方なんだけど。
5話からなる連作。同じバターンで、イケメンだけど変わり者の動物学者の先生とドジな雑誌編集者が、読者からの恋愛相談に動物の生態(求愛行動)を通して答えていくラブコメ。
不本意な仕事に就いてやる気のない毎日を過ごしていた主人公が好きなことだけしている変人の彼とのやり取りを通して、変わっていく。もうどこにでもあるようなお話の定番。だけど、誰もがそれぞれ心当たりのあるような悩みを抱え、そんな悩みと付き合ううちに気付くと自分もまた、いろんなことを乗り越えていけるという展開は読んでいて心地よい。先輩や、友人、家族、そして天敵のような仕事相手になる女性(元スーパーモデルで、今は仕事もせずに飲んだくれている)。彼女たちとの関わりのなかで、彼女だけではなく、そんなみんなもまたそれぞれが自分の抱える悩みと向き合い、答えを出していくことになる。
誰もが夢と現実の間で、苦しみながら今の自分を生きている。でも、ちゃんとそんな「今」と向き合えばそこから答えは自ずから出てくる。まぁ、甘いといえば、甘いんだけど、それはそれでいいではないか。ちょっとした夢心地で元気になれればいい。そんな小説は必要だ。ドジなヒロインは、ちゃっかりかわいくて応援したくなる。