マーゴット・ロビー&ライアン・ゴズリングの共演でバービー人形の世界を実写で映画化。アメリカでは今大ヒット中の大作映画。
しかも、それをあの『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』を撮ったグレタ・ガーウィグが監督。『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバックがガーウィグ監督と共同で脚本を手がけたのだから、期待しないではいられない。
前半部分(冒頭の『2001年宇宙の旅』のパロディは最高!)は笑えるし、楽しい。そこはまるごとピンクの世界で、軽快にバービー・ランドが描かれる。この世界はいろんなバービーとさまざまなケンたちだらけ。ノーテンキで、幸せ。
だけど、リアル世界にやってきたところから少しつまらなくなる。さらには再びバービーランドに戻ってからのクライマックスまでがまたつまらない。どうしてこんなことになってしまうのかとガッカリする。
バービー(マーゴット・ロビー)の理想郷は現実世界から見ると噴飯もので、バービーは傷つく。だけど、彼女は何としても夢の世界を取り戻したい。彼女の切実な想いがもっと全面に出たらいいのに、途中から彼女まで日和ってしまう。夢のままずっと楽しい毎日が送れたなら最高ではないか。そのための努力なら是非やり切ってください。
ケン(ライアン・ゴズリング)は自分たちの置かれた不条理に気づいて、バービーたちから男たちの権利を取り戻す。だが、それも虚しい。最後の戦いはリアル社会の会社の社長以下役員たちを巻き込んでいく。
いつか自分も死ぬかもという不安を抱いたバービーはリアルワールドに行き、不安の原因を取り除こうとする。バービーランドとはまるで違う世界に戸惑いながらも本当の自分探しをする彼女のドラマは面白いけど、なんかあまりしっくりこない結末にはガッカリした。夢は普通になること、なんて、なんか納得いかないことばかり。男女がお互いに力を合わせて明るい未来を作るとか、嘘くさい。