とても読みやすい短編集だ。すらすら一瞬で読めた。7つの食を巡る小さなお話は、そのひとつひとつが読んでいる僕らの心を暖かくしてくれる。それはおいしい料理を食べたときの幸せと同じだ。『食堂かたつむり』の小川糸が、なんでもない7つの料理を通して、「食べること」と「生きること」を教えてくれる。
ここに描かれる生と死、出会いと別れのドラマの中心には、いつも食事をする姿がある。わざとそういうドラマを作ったのではなく、特別な時には食事がある、という考え方からこういうドラマが生まれる。人の営みの中心には「食べる」という一見無為に見える行為がある。でも、本当は、誰もが知っている。それは一番大切な行為なのだ。
人生の最期に口にするかき氷。(宮沢賢治の『永訣の朝』と同じだ!)父の好きだったぶたばら飯を、今からプロポーズする彼女と食べる。長年付き合ってきた2人の別れの儀式としての松茸。結婚式の朝も、ずっと毎日欠かさなかった「母のみそ汁」を父に作る娘。ボケてしまった老女が、死んだ夫が好きだったレストランで食べるハートコロリット。ホモの2人が心中する前に2人で摂る最期の晩餐。死んだ父の供養として、父が大好きだったきりたんぽを母と食べる。
なんてわかりやすい短編集であろうか。伝えたいことがこんなにもストレートに伝わり、胸に沁みる。優しい小説だ。口にすれば、一瞬で、心が豊かになる料理。そんな小説である。ご賞味あれ。
ここに描かれる生と死、出会いと別れのドラマの中心には、いつも食事をする姿がある。わざとそういうドラマを作ったのではなく、特別な時には食事がある、という考え方からこういうドラマが生まれる。人の営みの中心には「食べる」という一見無為に見える行為がある。でも、本当は、誰もが知っている。それは一番大切な行為なのだ。
人生の最期に口にするかき氷。(宮沢賢治の『永訣の朝』と同じだ!)父の好きだったぶたばら飯を、今からプロポーズする彼女と食べる。長年付き合ってきた2人の別れの儀式としての松茸。結婚式の朝も、ずっと毎日欠かさなかった「母のみそ汁」を父に作る娘。ボケてしまった老女が、死んだ夫が好きだったレストランで食べるハートコロリット。ホモの2人が心中する前に2人で摂る最期の晩餐。死んだ父の供養として、父が大好きだったきりたんぽを母と食べる。
なんてわかりやすい短編集であろうか。伝えたいことがこんなにもストレートに伝わり、胸に沁みる。優しい小説だ。口にすれば、一瞬で、心が豊かになる料理。そんな小説である。ご賞味あれ。