ハネケの映画の中で、これは失敗作に位置付けられる数少ない作品だ。前半は刺激的なのだが、あまりに丸投げしすぎて、後半、想像力が膨らまないまま終わる。
少女を殺してしまうという行為のそっけなさ。そのあまりのあっけなさには唖然とさせられる。しかも、その行為はビデオに撮られていて、少年はその映像を何度も繰り返し見る。これは猟奇殺人ではない。彼にとってこれは事故のようなものだ。(殺されたほうはたまらないが)
彼には死と言う事実が受け入れられない。リアリティーのないものとしか感じられない。その実感のなさゆえ、彼は罪の意識を抱けない。何が起きたのかもよくわからないまま、何度もビデオを再生する。少しずつ自分の行為に明確なイメージが持てるようになる。しかし、それでもそれはただの映像でしかなく、自分の行為の裏付けにはなっても、やはり実感にはならないままだ。
このへんまでは面白いのだが、両親にそのビデオを見せてから、2人が死体の処理という現実的な問題に奔走する中、当事者のはずの彼が取り残されていくことになる。ここらあたりから、何だか映画が横滑りしていく。さらには、母親とエジプトを旅することになり、(その間、父親が死体の始末をする)その旅の中で彼は心理的にだけでなく、物理的にも事実から遠ざかる。映画自体も本質からどんどん遠ざかる。
されるブタの映像から始まったこの映画は、、そのイメージを何度も繰り返しながら死という実感を見失ってしまった少年の内面の空白を浮き彫りにする。その空虚さがそれだけで終わるから、なんだか肩すかしを食らった気分になる。
少女を殺してしまうという行為のそっけなさ。そのあまりのあっけなさには唖然とさせられる。しかも、その行為はビデオに撮られていて、少年はその映像を何度も繰り返し見る。これは猟奇殺人ではない。彼にとってこれは事故のようなものだ。(殺されたほうはたまらないが)
彼には死と言う事実が受け入れられない。リアリティーのないものとしか感じられない。その実感のなさゆえ、彼は罪の意識を抱けない。何が起きたのかもよくわからないまま、何度もビデオを再生する。少しずつ自分の行為に明確なイメージが持てるようになる。しかし、それでもそれはただの映像でしかなく、自分の行為の裏付けにはなっても、やはり実感にはならないままだ。
このへんまでは面白いのだが、両親にそのビデオを見せてから、2人が死体の処理という現実的な問題に奔走する中、当事者のはずの彼が取り残されていくことになる。ここらあたりから、何だか映画が横滑りしていく。さらには、母親とエジプトを旅することになり、(その間、父親が死体の始末をする)その旅の中で彼は心理的にだけでなく、物理的にも事実から遠ざかる。映画自体も本質からどんどん遠ざかる。
されるブタの映像から始まったこの映画は、、そのイメージを何度も繰り返しながら死という実感を見失ってしまった少年の内面の空白を浮き彫りにする。その空虚さがそれだけで終わるから、なんだか肩すかしを食らった気分になる。