こういう大作映画は、ハリウッドの定番になってきたようだ。ある種のパターンからまるで逸脱しない。製作費はどんどん高騰するが、内容では頭打ち。大体どんな凄いアクションや、SFXであろうとも、もう驚かない。驚異のビジュアルなんかどこにもない。CGで何でもできる時代になってしまったからだ。夏の大作映画は全部見たけど、確かにいずれも凄かったけど、それだけ。この後、夏休みの最後にスーパーマン(『マン・オブ・スティール』)が控えているけど、これではあまり期待できない。
ありとあらゆるパターンの大作映画がこの夏は出揃った気がする。こんなにも大挙して公開された年はないだろう。しかも、それぞれのレベルは高い。個人的には7月公開のトム・クルーズ主演『オブリビオン』が一番おもしろかった。次は『ローン・レンジャー』だ。これは西部劇の限界に挑む究極のアクションだろう。そのほかにもおもしろい映画はたくさんあった。毎週大作映画が続々と公開された。順番にどんどん見て行くのは結構快感だったのだが、だんだん虚しくなった。とどめがこの映画だ。
確かにいずれも工夫が凝らされた大作でよくできているし、これ以上望めないようなすさまじい技術が導入されてある。なのに、物足りない。しかも、日本では興行的にも成功していない。もちろんそれなりにはヒットしただろうが、映画会社は、あんな成績では納得いかないはずだ。リスクに見合うだけの成果はあげていない。長期にわたって大々的に宣伝したこのSF大作なんて、こんな不入りでアメリカの本社は驚きだろう。公開2日目の土曜の夜、梅田ブルク7で、30人くらいの入りだ。いくら拡大公開しているからといえ、これは悲惨だ。
話はよく出来ている。2時間12分ドキドキしてスクリーンを見守ることができる。主人公の2人(カークとスポック)を中心にして、敵役のカーンも含めて人物配置は完璧だし、派手なアクションの連続で、飽きさせない。最後の足で叩いて直す、とかいうそれはないだろ、というすさまじい展開も含めて楽しめる。でも、いくらなんでもそれは無謀だろ、と思うけど、あれくらいの根性は大事だ。宇宙船の最新テクノロジーが、そんなアナログなことで、大丈夫なのか、とも思うけど。
だが、と、思う。たとえ、これくらいに面白くても、もう飽きた、と言いそうになる。
善対悪の対立。対決。エンタープライズ号の危機。地球への帰還はなるか、手に汗握る展開に主人公2人の友情、必ずしも悪とは言い切れない敵(なんと彼は、劇場用第2作『カーンの逆襲』のカーンである!)とのライバル対決。さらには思いもしないもうひとりの敵の出現。宇宙空間での壮大なバトル。いろんな面で、とてもよく出来ている。あきらかに自分たちを凌ぐ圧倒的に強い敵の前で、必死になって凌いでいく。そこに前述の命を賭したあっと驚く展開が待つ。そんなバカな、とはやはり思うけど、主人公はちゃんと死なない。娯楽活劇のルーティーンワークを守り、その中でやりたい放題の映画を作る。
どこにも、非の打ちどころがない。だが、映画館はがらがらだ。ここまでしてもこの状態なのか。というか、僕がこの映画を見て、心震わせることがなかったことの方が問題なのだ。文句のつけどころもない映画になぜか不満を抱いている。なんだか不思議な気分だ。
この映画の予定調和はマーケッティングを意識したセオリー通りの作り方で、そこへの不満なのか。つまらない映画だけど『ガッチャマン』にあった圧倒的破綻の方になぜか心惹かれるのは、きっと僕だけだろうが。
ありとあらゆるパターンの大作映画がこの夏は出揃った気がする。こんなにも大挙して公開された年はないだろう。しかも、それぞれのレベルは高い。個人的には7月公開のトム・クルーズ主演『オブリビオン』が一番おもしろかった。次は『ローン・レンジャー』だ。これは西部劇の限界に挑む究極のアクションだろう。そのほかにもおもしろい映画はたくさんあった。毎週大作映画が続々と公開された。順番にどんどん見て行くのは結構快感だったのだが、だんだん虚しくなった。とどめがこの映画だ。
確かにいずれも工夫が凝らされた大作でよくできているし、これ以上望めないようなすさまじい技術が導入されてある。なのに、物足りない。しかも、日本では興行的にも成功していない。もちろんそれなりにはヒットしただろうが、映画会社は、あんな成績では納得いかないはずだ。リスクに見合うだけの成果はあげていない。長期にわたって大々的に宣伝したこのSF大作なんて、こんな不入りでアメリカの本社は驚きだろう。公開2日目の土曜の夜、梅田ブルク7で、30人くらいの入りだ。いくら拡大公開しているからといえ、これは悲惨だ。
話はよく出来ている。2時間12分ドキドキしてスクリーンを見守ることができる。主人公の2人(カークとスポック)を中心にして、敵役のカーンも含めて人物配置は完璧だし、派手なアクションの連続で、飽きさせない。最後の足で叩いて直す、とかいうそれはないだろ、というすさまじい展開も含めて楽しめる。でも、いくらなんでもそれは無謀だろ、と思うけど、あれくらいの根性は大事だ。宇宙船の最新テクノロジーが、そんなアナログなことで、大丈夫なのか、とも思うけど。
だが、と、思う。たとえ、これくらいに面白くても、もう飽きた、と言いそうになる。
善対悪の対立。対決。エンタープライズ号の危機。地球への帰還はなるか、手に汗握る展開に主人公2人の友情、必ずしも悪とは言い切れない敵(なんと彼は、劇場用第2作『カーンの逆襲』のカーンである!)とのライバル対決。さらには思いもしないもうひとりの敵の出現。宇宙空間での壮大なバトル。いろんな面で、とてもよく出来ている。あきらかに自分たちを凌ぐ圧倒的に強い敵の前で、必死になって凌いでいく。そこに前述の命を賭したあっと驚く展開が待つ。そんなバカな、とはやはり思うけど、主人公はちゃんと死なない。娯楽活劇のルーティーンワークを守り、その中でやりたい放題の映画を作る。
どこにも、非の打ちどころがない。だが、映画館はがらがらだ。ここまでしてもこの状態なのか。というか、僕がこの映画を見て、心震わせることがなかったことの方が問題なのだ。文句のつけどころもない映画になぜか不満を抱いている。なんだか不思議な気分だ。
この映画の予定調和はマーケッティングを意識したセオリー通りの作り方で、そこへの不満なのか。つまらない映画だけど『ガッチャマン』にあった圧倒的破綻の方になぜか心惹かれるのは、きっと僕だけだろうが。