CGアニメーションとして蘇ったルパン3世なのだけど、全くお話がつまらない。山崎貴監督なので、期待大だったのだけど、どうしてこんなことになったのだろうか。『カリオストロの城』を目指したはずなのに、ストーリーの表層をなぞるだけで、まるで弾まない。
時代が1955年というのは、なんだか不思議な感じがしてよかったのだけど、それが生かし切れていない。ヒトラーがまだ生きていてナチス復活を目論む、とかいうようなお話なのに、簡単にヒトラーは死んでいたとかいうオチになるのも納得いかない。お話を広げるのならもう少しやりようがあったはずだ。ルパンたちのデザインは格好いいし、ビジュアル面ではなんの問題はない。要はお話の作り方なのだ。
もっとドキドキさせてくれる壮大な冒険活劇であって欲しかった。一応はスケールの大きなお話のはずなのに、なんだかチマチマしている。どうしてこんなことになったのか。よくわからない。
お決まりのストーリーの中で、お人形サンのようないつものメンバーが、行儀よく、走り回るだけ。でも、それは未知の世界への旅ではなく、箱庭でのお遊びのようで、なんとも締まりがない。なんだか偽物のルパン三世を見た気分。93分というスリムな上映時間も生かされてない。