久々に濱野京子の小説を読んだ。彼女の新刊ならすぐにでも読みたいのだが、図書館で見かけなければ、ついつい読み逃す。この本も2010年10月刊行なので、もう2年近く前ではないか。まぁ、そんなものでしょう。
相変わらず、である。いろんな意味で。でも、それが嫌ではない。というか、実に心地よい。ワンパターンの謗りは免れ得ないはずだが、この特別な場所を巡る話は、彼女の黄金のパターンだ。そして、孤独な少女(少年)が、誰にも心を開かない、というのも。今回もそのパターンを見事踏襲する。というか、僕は昨年の新刊『木工少女』を偶然手にして彼女の存在を知り、そこからどんどん遡って読んでいっただけで、この本も当然『木工少女』以前の作品だ。新刊でもなんでもない。
竜の木の下で出会った2人の少女と少年(でも、彼は彼女のクラスメートの女の子と瓜二つで、実は同一人物)の物語。友だちなんかいらない、と思っていた。最初からそう思うことで、淋しい心と折り合いをつけていた。両親の離婚、度重なる引越し。何かを期待しても、意味がない。だから、何も期待しないし、人と関わらない。淋しいなんて思わない。そんな感情を持たない。
でも、離人症、というか、2重人格の真琴を好きになり(というか、彼女ではなく男の子になったマコトを、だが。でも、本体である真琴のことも気になる)彼女と関わることで、桂の中の何かが変わってくる。よくあるパターンだが、とても淡々と見せるから、しっくりと心に沁みて来る。もどかしいくらいだ。でも、小説じゃないから現実ってこんなものだろう。というか、これ小説ですが。でも、この児童書である小説のリアリティーがそう思わせる。だから、彼女の小説って好きなのだ。緩い話に見せかけて、とても丁寧だから、リアルだ。子供たちの世界をきっとそんなものだろう、と感じさせる。自分たちが子供だった頃の記憶をよみがえらせながら読むことになる。変わらないものが確かにそこにはある。だから、信じられる。
単純なハッピーエンドではない。だが、生きる勇気を与えてくれる。父と母の離婚の意味。自分のことを家族がどう思ってくれているのかを改めて知ること。そのことを通して少しずつ変わろうと思うこと。決定的な何かではない。緩やかな変化だ。だが、それはずっと後になってきっと、大きな変化だったことに気づく。それでいいのだ。友情なんて、永遠のものではない。何かがきっかけで途切れてしまう可能性は必ずある。でも、構わない。それは相手に期待しないからではない。人は変わるものだからだ。でも、そんな変化の中で確実に成長していく。それでいい。小説のラストで、先生と約束したから仕方なくバレー部に入り、仲間を作る。たったそれだけの変化が心地よい。
桂と真琴の物語の第1章でしかないこのささやかな小説が教えてくれる。大切なもの。それを大事にして欲しい。
相変わらず、である。いろんな意味で。でも、それが嫌ではない。というか、実に心地よい。ワンパターンの謗りは免れ得ないはずだが、この特別な場所を巡る話は、彼女の黄金のパターンだ。そして、孤独な少女(少年)が、誰にも心を開かない、というのも。今回もそのパターンを見事踏襲する。というか、僕は昨年の新刊『木工少女』を偶然手にして彼女の存在を知り、そこからどんどん遡って読んでいっただけで、この本も当然『木工少女』以前の作品だ。新刊でもなんでもない。
竜の木の下で出会った2人の少女と少年(でも、彼は彼女のクラスメートの女の子と瓜二つで、実は同一人物)の物語。友だちなんかいらない、と思っていた。最初からそう思うことで、淋しい心と折り合いをつけていた。両親の離婚、度重なる引越し。何かを期待しても、意味がない。だから、何も期待しないし、人と関わらない。淋しいなんて思わない。そんな感情を持たない。
でも、離人症、というか、2重人格の真琴を好きになり(というか、彼女ではなく男の子になったマコトを、だが。でも、本体である真琴のことも気になる)彼女と関わることで、桂の中の何かが変わってくる。よくあるパターンだが、とても淡々と見せるから、しっくりと心に沁みて来る。もどかしいくらいだ。でも、小説じゃないから現実ってこんなものだろう。というか、これ小説ですが。でも、この児童書である小説のリアリティーがそう思わせる。だから、彼女の小説って好きなのだ。緩い話に見せかけて、とても丁寧だから、リアルだ。子供たちの世界をきっとそんなものだろう、と感じさせる。自分たちが子供だった頃の記憶をよみがえらせながら読むことになる。変わらないものが確かにそこにはある。だから、信じられる。
単純なハッピーエンドではない。だが、生きる勇気を与えてくれる。父と母の離婚の意味。自分のことを家族がどう思ってくれているのかを改めて知ること。そのことを通して少しずつ変わろうと思うこと。決定的な何かではない。緩やかな変化だ。だが、それはずっと後になってきっと、大きな変化だったことに気づく。それでいいのだ。友情なんて、永遠のものではない。何かがきっかけで途切れてしまう可能性は必ずある。でも、構わない。それは相手に期待しないからではない。人は変わるものだからだ。でも、そんな変化の中で確実に成長していく。それでいい。小説のラストで、先生と約束したから仕方なくバレー部に入り、仲間を作る。たったそれだけの変化が心地よい。
桂と真琴の物語の第1章でしかないこのささやかな小説が教えてくれる。大切なもの。それを大事にして欲しい。