2部構成になっている。まず大衆演劇を模した作品を1本見せる。(これは神原版の大衆演劇そのものだ)そして、後半は、昭和8年を舞台に日本が戦争に突入していく時代、ある芝居小屋が閉鎖され劇団を解散した男のもとに人々が集まり、再び一座を結成し旅立つまでを描くお話を見せる。もちろんこちらが一応メインで、1部と2部の間には神原さんによる歌謡ショーが入るというスタイル。全体が大衆演劇のスタイルになっており1部は劇中劇でしかないのだが、そのバランスを著しく欠く。もちろんそれは承知の上で作られてある。どちらがメインでどちらがサブかなんてどうでもいい、そういう意味では神原さんは確信犯である。
作品自体はストレートに神原さんの芝居に対する愛情が伝わってくるものになっている。僕としては、こういう泥臭い芝居は見ていてちょっと辛いのだが、それでもその心意気は買う。
ただ、いくら考えても、やはり劇中劇『浜千鳥』はあまりに長い。本編である後半部分の上演時間と変わらないから2本立興行のようになってしまっている。この作品のテーマをもう少ししっかり伝えるためにも本編の尺をもう少し長くして、ただ仲間が集まり再結成していくという話ではなく、不穏な時代の中で、それでも芝居を続けたいと願う気持ちがもっと伝わってくるように作られてあったならよかったのに、と思う。
「ドイツではヒトラーが政権を執り、日本は国連を脱退し言論の自由は封鎖されて一直線に戦争へ」向かう時代にあってそれでも大衆が求め、大衆の心を打つ芝居を続けたいと願うことが、今を生きる我々の胸にまで深く沁みてくる、そんな作品に仕立てることは神原さんなら充分できたはずだ。スタイルに拘り過ぎて全体のバランスを敢えて崩し、その結果、それはそれで面白いのだが1本の作品としては残念な仕上がりになっていることも事実だ。
作品自体はストレートに神原さんの芝居に対する愛情が伝わってくるものになっている。僕としては、こういう泥臭い芝居は見ていてちょっと辛いのだが、それでもその心意気は買う。
ただ、いくら考えても、やはり劇中劇『浜千鳥』はあまりに長い。本編である後半部分の上演時間と変わらないから2本立興行のようになってしまっている。この作品のテーマをもう少ししっかり伝えるためにも本編の尺をもう少し長くして、ただ仲間が集まり再結成していくという話ではなく、不穏な時代の中で、それでも芝居を続けたいと願う気持ちがもっと伝わってくるように作られてあったならよかったのに、と思う。
「ドイツではヒトラーが政権を執り、日本は国連を脱退し言論の自由は封鎖されて一直線に戦争へ」向かう時代にあってそれでも大衆が求め、大衆の心を打つ芝居を続けたいと願うことが、今を生きる我々の胸にまで深く沁みてくる、そんな作品に仕立てることは神原さんなら充分できたはずだ。スタイルに拘り過ぎて全体のバランスを敢えて崩し、その結果、それはそれで面白いのだが1本の作品としては残念な仕上がりになっていることも事実だ。